感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ニミッツクラス
30
69年(昭和44年)の180円の文庫初版。7短編を収録で、当時判りづらい“ピー・アイ・マン”を邦題にしたのは何故かと今でも思う。底本の原題に沿った改題新装版「世界のもうひとつの顔」が93年に9版で出ている。それらと17年「イヴのいないアダム-ベスター傑作選」で著者のほとんどの短編が読める。当時長編が2作しかなかったベスター(結局4作)は短編でもベスター臭を醸している。巻末の「昔を今に…」なんてポスト・ピカドンで出会う地球最後の男女の話だから、収まるべき部分は決まっているのに絶妙に引っ張る。★★★★☆☆2023/02/24
aki
4
いまは『世界のもうひとつの顔』というタイトル。確かに『ピー・アイ・マン』は何がなんだかわからない。おぼろげな記憶をたどると、ベスターを最初に読んだのはジュディス・メリル編の『年間SF傑作選』に収録されていた「ジープを走らせる娘」。終末テーマの傑作で、本書にも「昔を今になすよしもがな」というタイトルで収められている。その後、『分解された男』を読み、『虎よ! 虎よ!』へと進んだ。寡作で、もうちょっと書いといてくれよ、と何度願ったか。「昔を~」以外の作品も傑作ぞろいで、ベスターのおもしろさを堪能してほしい。2019/05/09
黒い森会長
4
7編収録。『時間は裏切り者:「決断を下すもの」がなぜクルーガーを殺すのか。その謎を探り、解決を考える「友人」の物語。『マホメットを殺した男たち:妻と不貞した男に復讐のためにその親を殺しに過去にさかのぼる男。ところが現在に戻ると男と妻はそのまま変わらない。なぜ?『この世を離れて:電話の混線で知り合った彼女の居る所は。『ピー・アイ・マン:世界のバランスをとるために「償い」を続ける男、ピーアイ・マン。『花で飾られた寝室用便器:25世紀の映画の中のような軽薄な世界。そこへ時間跳躍した20世紀の男。2017/04/16
5〇5
3
あらまあ、これSF作品集なんだけど、ひねりを利かせ(過ぎ⁉)た洒脱なものが多いわねえ。テーマはクローン、タイムスリップ、並行世界、宇宙の秩序、悪魔との契約、終末世界と多彩よう。お気に入りは、地球最後の人を描いた「昔を今になすよしもがな」よ。ラストの刹那の官能な1シーンが光る逸品だわね。2024/11/01
llll'
0
.2023/10/14




