創元ＳＦ文庫 一千億の針 （新版）

クレメント，ハル【著】〈Ｃｌｅｍｅｎｔ，Ｈａｌ〉/小隅 黎【訳】

東京創元社（2016/06発売）

• サイズ 文庫判／ページ数 316p／高さ 15cm
• 商品コード 9784488615079
• NDC分類 933
• Cコード C0197

出版社内容情報

ボブ・キナードの体内には、すぐれた知性を持つゼリー状の異星人が住みつき共生関係を保っていたが、それがうまくいかなくなりはじめた。日に日に弱っていくボブ。命を救うには、７年前に行方不明になった宇宙船を探し出し、一千億の星の中からただひとつ、異星人の母星に連絡をとらなければならない。歴史的傑作『20億の針』の続編。

ハル・クレメント［ハル・クレメント］

小隅黎［コズミレイ］

内容説明

『２０億の針』から７年。ボブの体内には、すぐれた知性をもつゼリー状の異星人が共生し、体内の病原菌を殺したり怪我の出血をとめたりしていた。しかし最近になって、ボブの体調が悪化しはじめた。日に日に弱りゆくボブを救うには、７年前に島の近海へ墜落した異星人たちの宇宙船を探しだし、一千億の星の中からただひとつの、彼らの母星の科学者に連絡をとらなければならないのだ。

著者等紹介

クレメント，ハル［クレメント，ハル］ ［Ｃｌｅｍｅｎｔ，Ｈａｌ］
１９２２年、アメリカ合衆国マサチューセッツ州生まれ。幼少時より天文学とＳＦに親しみ、４３年に天文学の学士号を、４７年に教職修士号を、６３年に理学修士号を取得。小説家としてのデビュー作はハーヴァード大在学中の４２年、“アスタウンディング”誌に掲載された“Ｐｒｏｏｆ”。その後同誌で活躍をつづけ、５０年に第一長編『２０億の針』を発表した。９９年、アメリカＳＦ＆ファンタジイ作家協会から生涯功労賞であるグランド・マスター賞を授与された

小隅黎［コズミレイ］
１９２６年金沢生まれ。１９５０年東京工業大学卒業（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[催涙雨]

正直言ってSFとしての面白味はほとんど感じられなかった。前作は異星体とのファーストコンタクトを含んだミステリだったが、本作は異星体の存在が常態化しているので、ミステリとしてのモチーフの域を出ていない。つまらないわけではないが前作の結末のまま終わっていたほうがまず間違いなく据わりが良かったものと思う。単一の作品としても良くもなく悪くもなく、非常に月並みなイメージが残る。殺人未遂までしでかす少年をひねくれ者と形容する人物紹介には疑問が残る。彼の存在は読んでいて単に不快さを感じるだけのものだった。

2019/08/05

[kochi]

共生タイプエイリアンと協力して逃亡者の事件を解決したバブの体に、共生の影響からか異変が生じ、命の危険が迫る。「ハンター」母星の調査団に連絡を取るために島に戻り、海に墜落した宇宙船の捜索を始めるが、バブの命が狙われる事件が起こる。逃亡者が生きていたのか？！　エイリアンもの名作『二十億の針』の続編。男の子の物語だった前作と比べ、かつての親友たちは働いているので、メインがガールズに交代して主役を食っているので、あわや三角関係？！に行かないのが70年代SFか^_^ タイトル邦訳も困難さマシマシをうまく表現。

2023/06/06

[kokada_jnet]

前作は、ボブと”取り手”ほぼ二人の「バディ物」だったが。今作は秘密を知って一緒に戦う仲間が増えて、チーム物としての魅力。チームには「頭がよくて気がつよい女子」が２名いるというのも、面白い。

2016/06/16

[波璃子]

｢二重億の針｣の続編。途中までは面白かったけど後半からダラダラしてて終わりかたがすごく中途半端だなと思った。続編はなくても良かった気がする。

2016/08/04

[鐵太郎]

これまた新訳版が出たので旧創元訳と比較しつつ一読。驚いたことに、小隅黎さんの翻訳は古い方もいまでも通用する見事なもの。新訳は言葉を多少いじるなど、あちこち手は入っていますが基本骨格は同じ。翻訳者、かくあるべし、ですな。〝捕り手〟がただの捜査官であったため、7年という月日のなかで、自分が宿主ボブの身体の変調を引き起こしてしまったのにそれが治せないという状況の中での苦闘が今回のテーマ。これもミステリ仕立て。盛り上がりはないけれど、上手く仕上げていますね。女の子二人が絡むのに色ごと抜きでした。(笑)

2016/09/17