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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
155
今なお『ドラえもん』などで登場するタイム・マシンは今では一般的になったSFのコンテンツの原点である。しかしそれ以外にも本書にはドラえもんに通ずる源泉が流れており、藤子氏はウェルズ作品の読者であったことは疑いない。但し藤子氏の作品は夢を描いたが、ウェルズは社会を斜めに見て風刺しているところに両者の間に決定的な違いがある。しかしウェルズは見事な仕事をしたと云わざるを得ない。それは21世紀の今なお通ずるアイデアを続々と提供し、ヴァージョンを変えた形で今なおいろんな創作の場で新たな物語を生み出しているからだ。2021/06/10
501
20
タイム・マシンの他5編の短編集。タイム・マシンに乗ってたどり着いたのは、80万年後の世界で人類は地上人と地下人に分かれ独自に進化していた。主人公の目を通し彼らの生活から推測した地上人と地下人の関係性はディストピア的な世界。タイムトラベルの初期作品ということで、なんなしに古びた退屈なものだろうと思っていたら、これはすごい、時代の経過を感じさせないどころか刺激的な作品だった。2017/07/22
光心
16
1ヶ月以上かけてゆっくり読み終えた。というのも、SF小説というのをまともに読むのが初めてだったからかもしれないし、じっくり読みたくて読んでいた節もあったからでもあるような気がする。 現在あるSFの基礎を作り上げた、とも言われるウェルズ。短編集の内容はまさにそれを示しているように思えるものばかりでどれを読んでも面白かったし、読み進め続けられた。短編集なので各話の内容についてはコメントで追記しようと考えているのだけど、この短編集は本当に面白かった。一読の価値ありな作品として人に薦められる作品だ。2016/03/16
植田 和昭
9
タイムマシンは、面白いけど、あとの作品が読みづらかったです。堀についたドアとか、これが宇宙戦争の作者かと思う位でした。 2017/12/09
Kotaro Nagai
7
ウェルズの短編集2分冊の1。1894年~1906年の表題作を含む6篇を収録。やはり中編規模の「タイム・マシン」(1895年)は印象的。冒頭書き出しで「タイム・トラヴェラー」と始まる。この言葉はウェルズが創始したんですね。これが19世紀の作品ということに、ウェルズの想像力に驚きを禁じ得ない。80万年先の未来の人類社会に対する悲観的なウェルズの見方も興味深い。他5編では奇妙な味「塀についたドア」(1906)、ほら話的でばかばかしい「奇跡を起こせる男」(1898)「水晶の卵」(1897)が面白く読めた。2025/05/19