出版社内容情報
冥凬(みょうふ)と呼ばれる怪物が跋扈する世界。空を飛ぶもの、地を這うものなど様々な種がいるが、そのどれもが無作為に人間を襲う習性を持っていた。人々は身を守るために砦を築き、軍事、工業、商業、農業などそれぞれ個別の役割を持った六つの共同体に分かれて暮らしている。少女キサは、この世で唯一冥凬を滅ぼす能力を持つ蒼衣(そうい)の家系に生まれながら、力を使いこなせず、役立たずの姫と蔑まれていた。冥凬討伐に失敗し川に落下したキサは、ひとりの少年に命を救われる。彼もまた大人たちから切り捨てられた孤独な存在だった。二人は手を取り合い、小さな力を振り絞って運命に立ち向かう。
内容説明
冥〓(みょうふ)と呼ばれる怪物が跋扈する世界。人々は身を護るため砦を築き、それぞれ個別の役割を持った共同体に分かれて暮らしている。少女キサは、この世で唯一冥〓を滅ぼす力を持つ蒼衣の娘だが、力を使いこなせず、蔑まれていた。ある日、討伐に失敗したキサは、一人の少年に救われる。彼も大人たちに見捨てられた存在だった。孤独な少女と少年が運命に立ち向かう傑作ファンタジイ。
著者等紹介
門田充宏[モンデンミツヒロ]
1967年北海道根室市生まれ。一橋大学社会学部卒。2014年、「風牙」で第5回創元SF短編賞を受賞(高島雄哉「ランドスケープと夏の定理」と同時受賞)。2018年、連作短編集『風牙』で書籍デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なっぱaaua
43
「風牙」の門田充宏氏が描くファンタジー。楽しみにしてました。冥凮という怪物が跋扈する世界。冥凮を滅ぼす能力を持つ一ノ宮の蒼衣の末姫:キサと三ノ宮でタイクーンの保子の仕事をしている生の二人の物語。キサは能力を使いこなせず囮役しか出来ないため捨姫と呼ばれる。生も能力に恵まれず棄錆となった。討伐に失敗したキサを助けたのが生。二人が過ごすうちに存在する意義を見出していく。読み始めは中華ファンタジーの様に単語が難しく時間が掛ったが世界観をイメージできるようになって楽しく読むことが出来た。~続く~2021/10/03
よっち
41
冥凬と呼ばれる怪物が跋扈する世界。人々は身を守るために砦を築き、冥凬を滅ぼす力を持つ蒼衣の家系に生まれながら、力を使いこなせない少女・キサが、討伐に失敗して川に落下した先で少年に命を救われるファンタジー。捨姫と呼ばれ、怪物を斃す囮として利用されてきた少女サキ。そんな彼女を救った少年・生もまた大人たちから切り捨てられた孤独な存在で、二人が仲間の力も借りながら手を取り合い、小さな力を振り絞って運命に立ち向かう展開にはぐっと来るものがあって、一度は別れた二人が再び巡り会えるのか、続きが楽しみな新シリーズですね。2021/09/27
タカギ
31
異形の怪物や不思議な道具について独自の名称を使っているところから、上橋菜穂子の世界観に近い物を感じた。つまりとても好み。見たことのない漢字をルビで読ませるスタイルで、自分は読み方を覚えるのは諦めたため、川の読み方が最後まで分からなかった。怪物を斃す血筋でありながら能力が不十分な姫君・キサと、後天的に異形の能力を与えられながら役に立たないと棄てられた少年・生のボーイミーツガール小説でもある。種類の違う異能も興味深いし、登場人物たちがみんな一生懸命で応援したくなった。ただ敵が強すぎる。良いファンタジーだった。2021/11/28
りょうすけ
28
冥風という化け物が跋扈する世界で、その囮として生まれたにも関わらず、役立たずと評されたキサと、こちらも劣等として生きる生(いくる)の愛の物語。一人じゃできない、だが二人ならーー。ファンタジーをまるで見てきたかのように語る。設定もストーリーもよく練られていて、才能を感じた。2022/04/17
虚と紅羽
14
私には合わなかった。何が、と聞かれても具体的には言えないけど合わなかった事だけは確信を持って言える。 気になった所としては、独自の世界観で作り込まれているからこそなのか、風景や敵の姿が描写だけで想像しきれなかったこと。世界観の雰囲気というのか、それも全く掴めなくて何をベースに想像すればいいのかも分からない。タイクーンを這う?描写とかも、綱?網?とどういう形状でどういう状況か分からず。光景が見えないのが楽しくなかったのかなぁ。 あと政治システムとか役割のシステムとか、一の宮側の心理が見えなかったのもな。2022/01/10