内容説明
大統領の誕生日を祝い、繰り返し歌い続ける金髪美女。再起を賭けた企画に翻弄されるプロデューサー。自分が創り出した登場人物の影に脅える脚本家。相手役に本気で恋してしまったポルノ男優。結婚式当日に逮捕されるスター女優…。不思議の国ハリウッドの片隅で囁かれる、スクリーンで起きることよりも不思議なエピソード。映画界を熟知した奇想作家による、奇妙な味の短篇集。
著者等紹介
アンブローズ,デイヴィッド[アンブローズ,デイヴィッド][Ambrose,David]
1943年イギリスに生まれ、オックスフォード大学で法学を修めたのち、映画、テレビドラマ、演劇の脚本家となる。主な仕事に、テレビでは「オーソン・ウェルズ劇場」(1973)など、映画では「ファイナル・カウントダウン」(1980)、「ダリル」(1985)、「イヤー・オブ・ザ・ガン」(1991)などがある。小説は、「The Man Who Turned into Himself」でデビュー
渡辺庸子[ワタナベヨウコ]
法政大学(通信課程)日本文学科卒業
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感想・レビュー
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くさてる
15
ハリウッドを舞台にした短編集。ミステリとも奇妙な味とも言い切れない、それだけで終わらないような不思議な味わいがする作品ばかりで面白かったです。個人的なお気に入りは、題名からして主人公が不幸になるような予感がしてたまらずに、どうかそうなりませんようにと読み続けた結果、読後感としておかしな解放感を得た「ハリウッドの嘘」、まさかそこにたどりつくとは!のラストが衝撃的だった「へぼ作家」、生涯をかけた復讐譚と女の執念の凄まじさが印象的だった「ハリウッド貴族」。それ以外の作品も面白く、粒揃いだったと思います。2015/11/09
hiiragi
1
奇妙な味を期待して読んだのだけれど、ポルノスター同士が真剣に恋に陥ってしまったその顛末を描く「名前の出せない有名人」や、ハリウッドの名家に嫁ごうとするも逮捕されてしまった女優の辿る皮肉な運命を語る「ハリウッド貴族」など、特殊なガジェットのないストレートな物語の方が意外にも気に入った。例外的に「ぼくの幽霊が歌ってる」は、在り様がモンスター化な主人公とかラストの力業っぷりが楽しかったけれど。思ったのはハリウッドという舞台が、すでに特殊であるということ。その魔法の世界に、改めて魔法を上乗せするというのは無粋とい2012/03/30
じゅん
0
★★★☆☆『へぼ作家』『名前の出せない有名人』『ぼくの幽霊が歌ってる』『ハリウッド貴族』がそこそこおもしろかった。序盤につまらない作品が続いたので「はずれ引いたかな」と思っていたら後半にいい作品が固まっていて救われた。ベストは『ぼくの幽霊が歌ってる』かな。マイケル・ジャクソンが元ネタと思われる天才子役が堕落していくのはテレビ的なおもしろさがあった。全体的に映画オチみたいな作品が多かったけど、この手の舞台設定でそれを多用するのはさすがにひねりがないので、普通小説風の作品の方が総じてよかった気がする。2016/07/13
光雲
0
短編ながら途切れ途切れに読みすぎたせいか、ハリウッドの舞台の独特の世界観が楽しめなかった、残念。マリリン・モンローをモデルとした短編が面白かった~第三者として共演できたら幸せなんだろうなぁ。どの短編も読んでいるときはそこそこ面白くても、後から、これって結論どんな話だっけとなってしまうのは何故だろう。2020/08/10