• ポイントキャンペーン

創元推理文庫
薔薇の血潮〈下〉

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 492p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784488585037
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

生贄として神聖な森の〈樹〉に捧げられた少年ジュン。だが、領主の剣が異教の儀式を中断させた。〈樹〉は倒され、ジュンはもはやもとの少年ではない。そして物語がはじまる。

内容説明

母であり、父であり、そして神でもある森。“選ばれし者”たる少年は、“森の男”の元で暮らしていた。生贄として“樹”に捧げられる運命。だが儀式が最高潮に達したとき、領主の兵の剣が“森の男”を貫いた。切り倒された“樹”に吊るされた少年は、死は免れたものの、もはや元の彼ではなくなっていた。読む人を惑わし迷宮じみた物語の胎内に虜にする、タニス・リーの真骨頂。

著者等紹介

市田泉[イチダイズミ]
1966年生まれ。お茶の水女子大学文教育学部卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

眠る山猫屋

13
眩惑されるような変転に次ぐ変転。下巻は森の少年ジュンの悲しい生い立ちから、その恐るべき未来を語ることから始まるが、無機質な(というより植物的な?)天使様に恐怖。そっか人間に無関心なところは、神の使者らしいのだな。二十年前の作品とは(良くも悪くも)思えない作品だったが、本歌取りは健在。聖書や童話をアレンジしながら更なる高みに届かせる凄み。最後のチーとプスの、忘れ難い、そして美しい最期。2014/03/25

rinakko

12
どぷり、おどろおどろを心ゆくまで堪能した。絢爛な血みどろと残忍な官能が濃厚に満ちたタニス・リーならではの世界ではありつつ、原始宗教とキリスト教(本作ではクリストゥス教)の関わりをみっちりとどす黒く描いているところに読み応えがある。生贄を捧げられた〈樹〉と十字架、磔刑、薔薇、林檎と蛇のイメージが幾度も繰り返される中、最も鮮烈で凄まじいと感じたのが血の描き方だ。葡萄酒に置き換えられない血そのものがおびただしく流され、底知れぬ場所へ注ぐようにごくごく…という描写は本当に野蛮で原始を思わせ、魅入られる怖さだった。2015/08/05

ユキモリ

5
キリスト教と異教のせめぎ合いの話ではあるけれど、キリスト教に詳しくない身からすると二元論ありき過ぎて少し辟易したところも。それにしても上巻の意味ありげだったアンジェレンの影の薄さはどうだろう。もう少し何事かを成し遂げる様が見たかった。2014/05/09

すけきよ

5
【承前】物語はキリスト教(作中ではクリストゥス教)と異教、文明と自然、聖と俗、父と子、男と女、夫と妻……様々な対立構造を孕んでおり、しかしながら、それらは対であり、不可分であり、または同じものである。重層的なテーマにさらに厚みをもたせているのが、その小説的な構造。章が変わるごとに、舞台もキャラクターも変わり、どこに連れて行かれるのかと読み進めるうちに、それぞれのつながりと真実が見えてくる。各章のキャラクターの関係性は円環であり、それは、お互いを飲み込みあうグノーシスの蛇のようでもある。2013/09/05

みみなし里緒

4
なかなかハードでした。時と場所と人物が違うが、何度も同じような情景が繰り返される。そのたびにこれはどの状況かと確かめ確かめ。アンジェレンは不滅の男かと思っていたら、滅んでしまった。でも彼はすべての根であり、実でもあるはず。自分の尾を呑み込もうとする蛇か(ウロボロス)。物語の冒頭に戻ったメカイルスはどうなるのだろう。作者は読者に丸投げ?表紙カヴァーの絵は勘弁。2013/09/28

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/6875308
  • ご注意事項