内容説明
999とは何か?この謎めいたタイトルのもと、作家としても知られる編者の「20世紀の掉尾を飾る一大ホラー・アンソロジーを」という呼びかけに応じ、29人が怪奇と幻想、恐怖とサンペンスの物語を書き下ろした。スティーヴン・キング、キム・ニューマンはじめ豪華な顔ぶれと、掌編から長編まで多彩な作品群でおくる本書は、まさしくホラー黄金時代の到来を告げる饗宴だ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kouro-hou
15
1999年出版(日本版は2000年)のホラー系アンソロジー1/3冊目。全29編のうち、短中篇11本を収録。キング、キム・ニューマン、JCオーツなどメジャー所も多く、原稿頂戴話から入る現役作家の書き下ろし集というのもポイントが高い。(後に別に収録されり、長編に改訂されたモノも有り) 随分長く積読山に埋もれていたんですが、なかなかの粒揃いでもっと早く読めば良かったよ! 王道ホラーからサスペンス、泣かせ系や毒々児童文学調やどうしてこうなった?まで内容豊富。大御所目当てで読んでも、他の意外な拾い物に出会えるかも。2014/06/04
ハルバル
7
オーツ「コントラカールの廃墟」(ゴシックホラー風味だが、オチが謎)、キング「道路ウイルス」(呪いの絵という古典ホラーをちゃんと怖く書けてる)、クライン「増殖」(これも茸ホラー?でよくある感じだけど、間接的な恐怖表現が巧み)、ウィリアムスン「十二宮クラブ」(美食クラブと金持ちという冒頭でオチまで読める自分の想像力を呪いたくなる胸糞作。ちょっと笑えるのがまた嫌)が面白かった。たとえ話として面白かろうが、ジャンルミックスよりはホラーらしいホラーがやっぱり好きだな。ところで最近のアメリカのホラー事情ってどうなの?2017/07/25
mejiro
5
ジョイス・キャロル・オーツ「コントラカールの廃墟」、ニール・ゲイマン「形見と宝:ある愛の歌」が特におもしろかった。スティーヴン・キング「道路ウイルスは北にむかう」は再読。このホラー・アンソロジーの中でも目立っていた。ベントリー・リトル「劇場」はグロテスクな内容が印象に残った。 2016/03/02
辺野錠
3
キム・ニューマン目当てで読むも他の作品も面白かった。話の幅もホラーからちょっといい話まで幅広いのが良かった。俺としては『フクロウと子猫ちゃん』、『《新十二宮クラブ》議事録とヘンリー・ワトスン・フェアファクスの日記よりの抜粋』、『妖女たち』が印象に残った。2013/03/28
madhatter
2
再読。私は現代的なホラーよりも、やや古臭い「恐怖小説」が好きなのだが、本巻は傑作揃いだと思う。どちらかと言えば、割と古典的な要素に、現代的でスタイリッシュな発想を加え、ひとひねりしてみせた作品が多い。手垢のついたジャンルでも、まだまだ発展の余地ありなのだなと感心することしきりであった。また、その一方「全ての謎解きをしない」タイプの作品が多いのも嬉しい。それは「雰囲気に逃げる」のではなく、怪異の全容を敢えて見せないことで、恐怖の大きさを測らせる作品とでも言うべきか。2012/04/18