内容説明
サヴィルの愛弟子タイレンデルと愛しあうようになったヴァニエルだが、父の怒りを恐れ、自分たちの関係を世間の目から隠そうと苦心する。そんなおり、タイレンデルの双子の兄が敵対する一族に暗殺された。深い絆で結ばれた半身の死に苦悩し、悲嘆にくれるタイレンデル。だがヴァニエルの一途な愛ゆえに、事態はいっそうの悲劇を招き寄せることに…。“最後の魔法使者”第一部。
著者等紹介
細美遙子[ホソミヨウコ]
高知大学人文学部文学科卒業、アメリカ文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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すけきよ
9
この作者、群像劇が上手くないと思うんだよね。だから、最近の三部作のように国同士の戦いなのに、一対一でちまちまやってるようにしか見えず、迫力もメリハリもない。その反面、一人のキャラクターを描き込むと、こぢんまりした味が活きてきて、狭い世界をめいっぱいに使い、物語の密度が高まる。その点、ヴァニエルの復活と再生だけに焦点が当てられているので、軸がぶれてしまうような不満はない。感触は『女王の矢』に近いかな。また、魔法で戦うラストも、今までになくファンタジー的で悪くない。少なくとも、シリーズの中では面白い方かな。2009/12/08
いちみ
4
司書つかささんの感想を拝見し、あー私もそう思った! と。 よくも悪くも”こぢんまり”した作品。 せっかく壮大に展開させ得る世界を舞台としながらも、そういえば登場人物もやけに少ないしスケール観はいまいち、、、、だけど、主人公ヴァニエルをはじめ、少ない登場人物たちの心理が丁寧に表現されていて、読みごたえはある。 まだまだココロの不安定な主人公が、これからどのように成長してゆくのか続刊が楽しみである。2009/12/11
mikage
3
やっぱり山口さんの方がいいなぁ。慣れもあるんだろうけど。末弥氏の表紙がいつも以上にはまっているのはヴァニエルの形容詞のせいだな。作者的に得手不得手はあるだろうけど個に焦点を当ている今回は大当たり。ラスト精神的な艱難辛苦をのりこえて使者の精神性に目覚める件は落ち着くところに落ち着いたなーといったところ。青年期にはどういった変化を見せてくれるのか楽しみです。2010/02/08
Tatsuya
3
シリーズ内でも『風』『矢』あたりの三部作よりよっぽど面白かった。序盤からひたすらヴァニエルに不幸が襲いかかりまくって、終盤精神的に成長した彼が自分に与えられた責任に目覚めて救われる、という展開がなかなか爽快。十二国記の『月の影~」と展開がちょっと似てるかな。でかいスケールで国同士の戦争云々より、キャラクターの内面に焦点をあわせて描写された物語のほうが面白いですね、この作者さんは。2009/12/24
てんとうむし
2
幸せだったのもつかぬま絶望の淵に。つらいなー。展開が早くてさくさく読めました。これから使者としてどうなっていくのか楽しみなので次作も読みたいと思います。2016/04/29
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- 和書
- 分断されるアメリカ