出版社内容情報
出よう。いますぐに、ここを。
兄弟は何者で、なぜ穴に落ちたのか?
謎に包まれた物語は、読後、
驚愕と力強い感動をもたらす。
暗闇で生きるあなたに贈る寓話。
「とうてい出られそうにないな。でも、絶対に出てやろう」。――ある日、深い穴に落ちてしまった兄弟。暗く湿った世界で、ふたりは木の根や虫を食べてでも生きようとするが、やがて弟が不思議な幻覚を見始めて……。なぜ兄弟は穴に落ちたのか? なぜ章番号は素数のみなのか? 幻覚に織り交ぜられた暗号とは? 謎と寓意に彩られた物語は、読後、驚愕と力強い感動をもたらす。スペイン版『星の王子さま』であり、現代の大人に捧げる寓話。
内容説明
深い森の奥にある、深い深い穴の底。兄弟は土にまみれ、脱出の方法を思案している。地上を想い、泥水を飲んで生きる日々が綴られるなか、やがて物語は奇妙な幻覚と、めくるめく謎に満たされていく―。なぜ章番号は素数だけなのか。兄弟は何者で、なぜ穴に落ちたのか。ふたりが辿りつく結末は、驚愕と共に力強い感動をもたらす。暗闇で生きるあなたに捧げる、現代版『星の王子さま』。
著者等紹介
レピラ,イバン[レピラ,イバン] [Repila,Iv´an]
1978年、スペインのバスク州ビルバオ生まれ。広告、グラフィック・デザイン、編集などの仕事に携わったのち、2012年にデビュー作となるUna comedia canallaを発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かぷち
70
とてつもない、鬼気迫る筆致。読み手の今迄の生き方次第でいくらでも解釈可能。私の場合、穴に落ちてしまっていた過去を思い出す。ただ生きている、それだけなのにもがいてあがいて絶望のあまり狂気に囚われていく、それをどこか遠くから冷静な目で見つめるもう一人の自分。光と闇、絶望と希望、混沌と秩序は同居している。だが普段は決して混じり合わない、明確な境界線がそこにある。穴の底で這いつくばる側、穴の上から見つめる側。けれどふとした、本当に些細なきっかけで逆転しうる両者の立場。非常に不安定、それが生きるって事なのか。2024/01/20
sin
69
訳者のあとがきは「寓意と暗喩に満ちた、大人の童話である。」と始まるが、寓意と暗喩と云うには具体的である。物語は兄弟が深い穴に閉じ込められた状態で始まり、そこを生き抜き脱出を計ろうとする。それにしても、この表紙のイラストはミスディレクションではないだろうか?確かに弟がせん妄し描き出す夢想はファンタスティックであるが、表紙のイメージではこの物語を童話と決めつけるかのように感じる。残念ながら著者の「…いろいろな角度から読める本なので、どのように読むかは読者の自由におまかせしたい」からは逸脱しているようなのだ。2023/09/27
眠る山猫屋
62
2023年度お兄ちゃん大賞第2位(嘘)。森の奥の穴に落ちた兄弟の過酷なサバイバル。「兄ちゃん、そのパン食べようよ」バチーン!「これはママの為のパンだぞ、次食べたいとか言ったら殺すぞ、虫でも喰っとけ」いやいやいや。マッチョな兄と夢見がちな弟。空腹なあまり幻覚見ちゃうくらい夢見がち。「俺は体力温存するからお前は虫も1/3ね」いやいやいや。でもそんなお兄ちゃんの秘めたる愛。どこが『星の王子さま』やねん、あ、サバイバル部分か?隠喩と寓話にカモフラージュされた絆の物語・・・かな?読み手によって(続く)2023/12/26
えりか
27
深い穴に落ちてしまった、名前も年齢も不明な兄弟。なぜ落ちたのかも不明。 冷静な兄と想像を超えた幻覚に陥る弟。 虫や木の根を食べながら、2人は脱出できるのかも一つのポイント。 この深い穴、いろいろな読み方があると思いますが、私は身近で想像しやすい「窮屈な生活」と捉えました。いつどこで、穴に落ちてしまうかわからない。むしろ、もうすでに私は深い穴の中に落ちているのかもしれない。 また謎めいた仕掛けもある。各章は素数のみ。それはなぜなのか。そして、隠された暗号の解読にぜひ挑んでほしい。2023/07/20
コンチャン
20
タイトルの通り、穴に落ちてしまった二人の兄弟の物語です。これが、何かを暗示しているのか、全てを読み解くのは難しい。細かいしかけもあって(あとがきを読まないと全く分かりませんでしたが…)深読みできる作品だと思います。2024/01/16