出版社内容情報
ホラー・ジャパネスクと怪談実話の興隆で幕を開けた平成の怪奇小説シーンは、やがて多くの人気作家や異色作家を巻きこみながら、幻想と怪奇と恐怖の絢爛たる坩堝(るつぼ)を形成してゆく……平成の三十余年間に生み出された名作佳品を、全三巻に精選収録する最新のアンソロジーが実現。最高の作家たちによる、至高の怪奇小説傑作選!
内容説明
ホラー・ジャパネスクと怪談実話の興隆で幕を開けた平成の怪奇小説は、多くの人気作家や異色作家を巻きこみながら、幻想と怪奇と恐怖の絢爛たる坩堝を形成してゆく。平成の三十余年間に生み出された名作を精選して、全三巻に収録。最高の作家たちによる至高の怪奇小説傑作選の第一巻は、平成元年発表の吉本ばなな「ある体験」から10年の宮部みゆき「布団部屋」まで全十五作。
著者等紹介
東雅夫[ヒガシマサオ]
1958年神奈川県生まれ。早稲田大学卒。文芸評論家、アンソロジスト。『幻想文学』と『幽』の編集長を歴任。著書に『遠野物語と怪談の時代』(日本推理作家協会賞受賞)ほか多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
133
このアンソロジーは、数年前に創元推理文庫から紀田さんと東さんによる日本怪奇小説傑作集に引き続いてものという位置づけです。日本怪奇が明治・大正・昭和のものをまとめていますが今回は平成30年間を10年ごとに区切って3巻になる予定のようです。この1には15人の作家の作品が収められていて、吉本ばななさんから宮部みゆきさんまでです。和人それぞれに好みがあると思いますが、私はやはりなじみの日影丈吉、北村薫、皆川博子、夢枕獏、宮部みゆき諸氏の作品が楽しめました。2019/08/13
藤月はな(灯れ松明の火)
86
令和元年に平成初期に執筆された怪奇小説を読めるなんて…。始まりの吉本ばななさんの「ある体験」からして只の編纂集ではないと伺わせる。何故なら、酒浸りの女というリアルさからかつての男を取り合う女達、水男という名の謂れ、コビトのイタコ、田中君の登場などと浮上していくからだ。しかし、中身は本当に好きだった人の喪失の痛みと爽やかでも切ない別れを描いている。そして生者の後ろめたさとしなやかな優しさが心にじわじわと沈み込んでいく。菊地秀行氏の「墓碑銘〈新宿〉」も愛し合っているのに同族ではないからこその夫婦の別れが切ない2019/10/31
sin
82
人生の過程で平成は昭和の延長でしかなかった。それが令和に代わってそのレッテルで区分けした中身が俄に意味を成して想われるのが不思議だ。ただこの本に色濃く昭和を感じさせられるのは元号は終わって始めて時代を染め上げ始めるからなのだろうか?吉本;新時代の予感、菊地;小手先、赤江;昭和の忘れ物、日影;小市民、吉田;シャーリーの『くじ』、小池;昭和の風景に平成の病、板東;あさまし、北村;女怖い、皆川;唐突に転調、松浦;永遠と云う恐怖、霜島;実話系、篠田;安直なディストピア、夢枕;因縁話、加門;独り語り、宮部;物語の力2019/08/08
HANA
80
平成元年から10年までの間に発表された怪奇小説のアンソロジー。流石というか名だたる作者ばかりで、小説の面白みを十全に楽しむことが出来る一冊となっている。個人的には吉田知子「お供え」を怪奇小説として収録しているのが面白いかな。他にも三角屋敷って一時期あったなあと懐かしく思い出さされる霜島ケイ「家──魔象」や赤江瀑に日影丈吉、坂東眞砂子など今は亡き作者の作品も収録されており、ついほろりとなってしまいそう。ずいぶん昔に読んだ作品を再読していると、平成もいつの間にか遠くなってしまった、そんな気がしてしまうなあ。2020/08/10
おかむー
77
令和一回目の正月から読んだ平成の怪奇小説傑作集。平成元年から10年までに発表された、吉本ばなな、菊地秀行、篠田節子、夢枕獏、坂東眞砂子、宮部みゆき、北村薫などなど豪華な15名の作家陣による短編はどれも字の文に厚みがあり読みごたえ充分。直截な回答のあるホラーもあるが、全体にどこか奇妙で底冷えする違和感の漂う“怪奇”作品の多いところが大変味わい深い。…と言いつつも重箱の隅をつつくなら「平成」怪奇小説と銘打ってる割には「平成」感が弱いというか、あくまで作品の発表が平成というくくりなのか。『よくできました』2020/01/12
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