内容説明
“技”とよばれる力を持った遠視者一族が治める六公国。そこに、継ぎの王の私生児として生まれた男の子がいた。庶子と名付けられたその子は、王の命で密かに暗殺者としての教育を受ける。折しも宿敵外島人の赤い船団による沿岸地域への襲撃が激しさを増し、六公国は次第に疲弊してゆく。王家の影として生きる宿命を背負った少年の成長と試練。魔法と陰謀が渦巻く異世界ファンタジー。
著者等紹介
鍛治靖子[カジヤスコ]
東京女子大学文理学部心理学科卒、翻訳家
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感想・レビュー
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袖崎いたる
10
<異世界><中世ヨーロッパ風>、どうやらぼくは自分の好みを絞れてきたらしい。乱脈な濫読主義も悪いものではないが、それでも自分の傾向を見つけることは重要だろう。この作品は高貴な父の私生児(庶子)として生まれた主人公が、周囲からの賤視を蒙りつつ、身寄りなき孤独を抱えながらも、「忠誠と任務」という自らの立ち位置ないしは役職に縋って成長していく物語。庶子という立場を使うとこうも自由に城やら町やらキャラを動かせるのかと感心させられた。それと英語の言葉遊びも楽しめる。foolを「愚か者」と「道化」と表したり。2015/07/15
作楽
8
主人公が王の私生児で、とにかく敵だらけ。読んでて、どうなるのかと気になるけれど、疲れたな。2018/06/14
しまっち。
7
絶対自分好みに違いない、と思ってた。期待どおり、面白い。世継ぎの王子の私生児として生まれた主人公フィッツの一人語りで物語は進む。どうやら影で王国を支える力となるが暗い運命となりそうな成り行きのストーリーの、まだまだ序章である。しかし父であるシヴァルリの情報は少なく、彼自身の能力の事もまだ明かされず謎は多く、師シェイドや道化にもまだ奥深い役割がありそう。しかし一気に影の人生まっしぐらかと思いきや、シヴァルリの妻ペイシェンスの登場でちょっと無理やり日向にでたようなところで下巻へ。これは続きが楽しみである。2016/03/26
aiwendil1
5
ファーシーア一族シリーズの1作目。「道化の使命」で断片的に語られた過去を辿る形で読むことになった。何が起こるかおおよそのことはわかっているが、詳細が答え合わせのようで面白い。2017/05/25
shelly
3
娘に薦められて読んだ作品。もともと翻訳小説はカタカナの名前が覚えられなくて苦手なのだけど(赤毛のアンを除く)、意味のある名前だからか、そんなこともなく読み進めることができました。“確証もなくそれを事実だと思いこめば、ほかの可能性が見えなくなってしまう。”シェイドのことば。さぁ、下巻です!2012/08/07