内容説明
自然のバランスがくずれ凶事が起こるとき、前兆として現れるのがモンスターである。丹念な筆に恐怖がつのりゆく田園の怪異譚(スタージョン)、スラム街のアパートの片隅に潜む怪奇(デイヴィッドスン)、未確認海洋生物を追い求める遠洋船の話(コリア)、殺意を宿した美麗な自動車の狂走(ロバーツ)など、様々なタイプの怪物が登場する名作を精選。本邦初訳作5篇を含む全10篇。
著者等紹介
中村融[ナカムラトオル]
1960年生まれ。中央大学法学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
45
表題作は、寄生させて人格が変わってゆく神童の描写に「スパイダー・マン2のDRオクトパスかッ!」や嫉妬に狂った車の女性モンスター化と言える『レディ・スカーレット』は「『殺人ブルドーザー』や『ピストン式』か」と始終、ツッコんでいました。スタージョンの『それ』の恐ろしさは、怪物が興味そのままで動いているだけあって性質が悪く、天真爛漫、悪く、言えば状況を把握してない少女の恐怖描写と相俟ってずば抜けていて背筋が凍りました。『お人好し』は好きな蜘蛛との女性同士の友情話と思い、ほのぼのしていたらまさかのラストに愕然。2013/12/23
ニミッツクラス
25
07年(平成19年)の税抜920円の初版。中村氏編集の怪物ホラーへの熱い思いが伝わるお買い得な一冊。10編中5編が初訳で、残りの5編も全て新訳となる。初訳ではウィンダムやロバーツにまだ未翻訳の作品があったのかとかなり驚く。初訳の「スカーレット・レイディ」は後発の「世界カーSF傑作選」にも載っていない垂涎作品。ミラーの「アウター砂州…」はバラードの「溺れた巨人」と「進撃の巨人」の女型巨人を彷彿とさせる。表題作に至っては、申し訳ないが「南国少年パプワくん」のイカ脚のウミギシしかイメージできない。★★★★★☆2020/11/04
Yu。
25
悪魔の所業か、はたまた地球からの警告なのか… 呪いから未知の巨大生物に至るまで童心に帰って愉しめる10のSF怪奇ホラー。おもしろい!!お気に入りは、老人の意地と怪物の驚愕すぎる目的という、恐怖の後に残る切なさに満点「幼虫」。 大津波で打ち上げられたモノが判明した時からの騒動はまさに大怪獣バトル「アウター砂州に打ち上げられたもの」。 ひょんな事から蜘蛛と語り合う主人公の不思議でほのぼのな世界観からの苦いオチが最高「お人好し」。魔の車に取り憑かれた男を中心とした人間模様に魅了される「スカーレット・レイディ」。2015/12/29
バ度ホワイト
19
スタージョンの『それ』最高!! 『沼の怪』『獲物を求めて』何かわからない物に狙われる恐怖。夜に読むと怖さが増す! 楽しいお話からのゾクッとする『お人好し』も素晴らしい!!2019/03/28
さといも
18
こういうの大好き〜。モンスター達の短編集。巨大なウニウニした物とか腐葉土のモンスターとか車とか、凄く良かった。もう10作品全てワクワクして読みました。楽しい。2017/08/16