内容説明
海辺の小さな町に、あのカーニヴァルがやってきた。十二年ごとにめぐってくる“夏至”の始まりだ。巨人の靴が流れ着き、人魚のような生き物が釣りあげられ、ネズミの仮面をつけた小人が走り去る。それは“夢の国”が姿を現わす時間、少年と少女の冒険の季節。過去と現在と未来がひとつになるとき、彼らは…。世界幻想文学大賞作家が贈る名作ファンタジー。
著者等紹介
増田まもる[マスダマモル]
1949年生まれ。早稲田大学文学部中退
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感想・レビュー
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ケロリーヌ@ベルばら同盟
45
寂れた港町に十二年毎訪れる〈夏至・ソルスティス〉。小舟ほどもある靴の片方が砂浜に打ち上げられ、人間にそっくりな首と手のようなヒレを持った謎の生き物が漁師の網にかかる。何かが起きようとしている。ありふれている筈の眺めや出来事が魔法を帯びる。幽霊たちが蠢く。遥か昔に廃線になった線路を軋ませ汽笛が迫る。カーニヴァルがやって来る。緻密な場景描写が五感に訴える、少年少女の冒険譚。不思議でおぞましく、甘美な悪夢のような物語。2020/08/28
星落秋風五丈原
17
1991年9月初版「夢の国」の改題新版。海辺の小さな町に、あのカーニヴァルがやってきた。12年毎にめぐってくる夏至の始まりだ。町の孤児院に住む少年ボビー(通称スキーズィックス)は夜の浜辺で小舟ほどもある巨人の靴を発見。居酒屋の主人マクウィルトは酒樽と巨大な眼鏡で望遠鏡を作り、天空には不思議な都市が蜃気楼のように浮かびます。そしてジャックの父母の死にまつわる真相が明らかになります。町の墓地が何者かにあばかれて死体が消えてしまいその中にはジャックの父の墓も含まれていた。過去と現在と未来が一つになる時、彼等は。2002/05/11
ピカ
13
はじめは文章がなかなか頭に入らずちんぷんかんぷんだったけど、第二部あたりでようやくペースを掴んだ。思っていたよりホラー要素もあり。観覧車に乗ってる時の描写とかはよく分からなかった。なんかゴンドラ何度も回っているような?〈夢の国〉がよく作りこまれてるなあ。ジャック、スキーズィックス、ヘレンの3人組が好き。ヘレンは現実的なのかそうでないのか……。大事な冒険の時にヘレンがいなかったのは残念。女の子も冒険仲間に入れてほしい(笑)読み応え充分で楽しめた。再読する時は丁寧に読んで、伏線を見つけてにやりとしたい。2015/03/21
斑入り山吹
4
小さい字がみっしり、読み応えあった。しかも安くBFで手に入れたから、コスパの高いこと!ハイファンタジーじゃないんだけど、現実現在かっていうとそれも違う。一体どういう世界なのだろう?そしてどんな隠されたルールがあるのだろう?そこら辺を一生懸命読み解くのがこの話。けっこうダンセイニみたいなイメージが思い浮かんできて、きれいだった。訳も一役買った感じ。善悪がしっかり分かれているのが、あとから考えればちょっと不満だったけれど、そうじゃなかったらもう込み入りすぎて最後まで読めなかったかもしれないから、良しとしよう。2014/07/07
mineko.m
3
最初は何かノッてこないなーなどと思っていたけどそんなこともありませんでした。ちょっとホラー的でありながら楽しくてみずみずしいお話。大人向けのファンタジーが読みたい人におすすめです。2012/02/19