出版社内容情報
死の神ダリヤの伝説が残る西の沙漠。遺跡の地図を作ることを生業とする青年カザムは、探索を終えて落胆しながら帰宅した。十年以上前、遺跡の調査に行くと言い残したまま、西の沙漠に消えた家族の行方を探し続けているのだ。そんなある日、自称宝石商の男が、カザムを道案内に雇いたいといってきた。だがカザムたちが沙漠の奥深くへと迫ったとき、沙漠に眠る恐るべき秘密が……。第2回創元ファンタジイ新人賞受賞の著者が贈る意欲作。
内容説明
死の神ダリヤの伝説が残る西の砂漠。十年もの間、砂漠に消えた家族の行方を探し続けている地図作りの青年カダムは、今日も探索を終えて落胆しながら帰宅した。そんな彼をレオンという怪しげな宝石商が道案内に雇いたいと言ってくる。だがカダムたちが砂漠の奥深くへと迫ったとき、そこに眠る恐るべき秘密が目を覚まし…。第2回創元ファンタジイ新人賞受賞の著者の意欲作!
著者等紹介
鴇澤亜妃子[トキザワアキコ]
神奈川県出身。東洋大学印度哲学科卒業。『宝石鳥』で第2回創元ファンタジイ新人賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さつき
60
遺跡調査で向かった砂漠の地で行方不明になった家族を探すカダム。得体の知れない男レオンの依頼で道案内として、また砂漠に向かいます。そこは飢え渇く神が、妻である豊穣の女神を食べてしまったという伝説が残る地。石を割ることで願いを叶える願い石、仮面の使徒たち、白く輝く遺跡の街。香気あふれる花園。鮮やかな情景が目に浮かび、謎めいた雰囲気に惹きつけられます。乾石智子さんの解説も素敵で、オセロの例えには思わず膝を打ちました。物語に夢中で読み飛ばしてしまった所がありそうで、もう一度読み返してみたいです。2019/04/29
羊山羊
11
金目当てで受けた案内役。それが主人公カダムの運命とこの地の伝説、宗教を揺るがす大事件へと発展する骨太ファンタジー。これ1冊ですますの?と聞きたくなる重厚な世界観に舌鼓。伝説と過去と今を複雑に絡ませる構築に見入る。ただ、カメラや飛行機があるのに車の描写がやけに少なかったりするのが少し中途半端に思えて残念。モーター式と思しきボートまで出る。世界の技術レベルはもう少し練ってほしかった。それを除けば、古代の女王を中心とした宗教観や背景設定にどっぷりはまれる良作。2019/08/13
鳩羽
11
西の砂漠で行方不明になった身内の行方を探して、地図作りの案内屋をしているカダム。彼の元へ、あるとき身なりのよい宝石商レオンが、砂漠への道案内を依頼しにやってきた。西の砂漠のガラ・シャーフ教団に呪いをかけられたレオンの友人をとっかかりに、カダムの身内の行方をたどる糸口が見つかり、カダムとレオンは西の砂漠に向かう。神話から続く信仰があるもののそれほど権威があるわけでもなく、車やカメラがあるほどに近代的なのに願いを叶える願い石にそこまで否定的でもない。いくつかのエピソードがもう少し縒り合わさっていたらよかった。2019/05/18
のれん
9
時代モデルは恐らく1910~20年代。かつてエジプト神秘にこぞって魅了されたヨーロッパよろしく、南の秘境を研究する北の大帝国。アフリカとオスマン+大英帝国の関係が一番近いのかも。 呪術と現代技術、神話と社会情勢、そして科学と解明できぬ伝説の石。 なんというインディジョーンズ感。年表ではなく家系図と簡略化した神話に魅せられた。設定は大好物だ。 ただエンタメを意識した設定の小出しをしながら、展開が間延びしすぎた。テーマとの絡み合いもいいが、盛り上げがっもう一声欲しかった。2019/08/31
綾乃
8
前作の「宝石鳥」に引き続き、ほぼ現実世界のような舞台でのファンタジー作品。神話の遺跡・ヨーロッパ的国家とモロッコあたりを彷彿とさせる古大陸など、わくわくする設定です。内容的にはファンタジー系なのだけど、アクションなしのジェームズロリンズな匂いもする、ある意味独特な世界観な気がします。鴇澤さんの2作目。彼女とは中学時代同じ学校に通っていたこともあり、心より応援したいです。そして解説が乾石さんですよ! すごーい!!!2019/05/16
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- 和書
- 山川 世界史史料集