創元推理文庫
薪の結婚

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  • サイズ 文庫判/ページ数 365p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784488547127
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

想い出に値する出来事があるたびに木片を拾う。人生が終わりを迎えるとき、それを薪にして火を熾す―“薪の結婚”。教えてくれたのは最愛の人。彼と住むこの館ですべては起きた。死亡した恋人の来訪、いるはずのない子どもたちの笑い声、知り得なかったわたしの“罪”。罪と罰、そして贖いの物語は、あらゆる想像を凌駕する結末を迎える。鬼才キャロルにのみ許された超絶技巧。

著者等紹介

市田泉[イチダイズミ]
1966年生まれ。お茶の水女子大学文教育学部卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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雪紫

55
薪の結婚の説明には何処か幻想的な魅力を感じる。あちらのお菓子や音楽を絡めながらも、主人公の恋愛遍歴と過去語りのはずが・・・終わりから目が点。そのまま進んで行くと、少し読み落とすだけでも何処へ迷い込んだのかわからなくなる。だが、そこで明かされる内面やヴァンパイアの意訳には自分にも思い当たることを感じ生々しさに戦慄した。それをこの物語の世界でさらっと書けるこの作者にも。2021/09/03

眠る山猫屋

41
切ないまでの希望と、狂おしいまでの絶望。普通に暮らしてきた、成功した大人の女性ミランダ。周りの人間より少しだけ恵まれていて、少しだけ傲慢なところがあって・・・と思っていたら、キャロルの物語群の中でも、異彩を放つ超自然な存在だったりして・・・。感情の起伏の激しい物語に、やや揺さぶられて疲れたけれど、魅せられました。腹話術師以外は皆魅力的、或いは理解の及ぶ範囲だし、ミランダの勇気、ヒューの愛情、ゾウイの友情、フランシスの包容力。どれをとっても、羨ましいくらい。2015/03/19

星落秋風五丈原

35
「おそろしく年取った女」が自分の過去について物語るところから、本作は始まる。三十代の独身女性ミランダは、美術品バイヤー、ヒューと瞬く間に恋に落ちる。だが彼には妻子がいて…とこう粗筋を書くと、おそらく大方の読者には先の予想がつくだろう。選択肢は二つ。結局は妻子の元に戻るか、それともミランダとの愛を育むか。どちらを選んでも愛は残る。だが、それにしてはタイトルが『薪の結婚』とは、ちと侘しくはないか。あれこれと悩みつつ、「どうやらこの物語は、ありきたりのラブロマンス」ではなさそうだ。2008/05/13

ニンジン

30
初のジョナサンキャロルでしたが、こういう作風の方なんですね。第一部と第二部で話が全く変わるのに違和感は読み進めてしまいます。 主人公、ミランダが作中で言われているほど罪を犯しているとは思わないし誰にでもあることで奪われたと憤る人だって彼女を利用していると思うのに… 最後は要するに一体どういうことなのか、謎は残るしまだ飲み込めきれないことも多かったけど、別作品も読んで理解を深めたいと思いました。 2022/03/09

アプネア

16
不倫メロドラマを罪悪感と僅かばかりの葛藤を交えて、うだうだやってんな~と思ってたら、一部のラストから二部への転調にその足場を見事に崩される。時系列は乱れ、死者が当然の様に闊歩する強烈で非現実な幻視体験。やたらと示唆に富むシーンが多く、色々と解釈があるんだろう。個人的には、利己心のまま他人の運気を吸い取るという吸血鬼のメタファーが良かった。実際、悪気なく自己中で周りの人を不幸にする人っていますもんね。また、そういう人に限って魅力的なのも質が悪いんですが・・・2018/02/07

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