内容説明
数多の怪事件を解決してきた名探偵ド・グランダンと友人トロウブリッジは、婚礼を控えた花嫁が衆人環視のなかで姿を消すという怪異に遭遇する。彼女が着けていた帯が異国の邪教に由来するものと判明したのち、花嫁の母親が自殺を装って殺され、その後も赤子の誘拐や儀式殺人など事件が相次ぐ。これらは世界各地で暗躍している悪魔崇拝者の仕業か。シリーズ唯一の長編、本邦初訳。
著者等紹介
大瀧啓裕[オオタキケイスケ]
1952年、大阪市生まれ。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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geshi
27
ミステリとしての謎解きやホラーとしての禍々しさはオミットして、怪奇探偵冒険活劇としての楽しさを押し通している。次から次へと事件が展開しピンチからの逆転が続いて、読者をひと時も離さないリーダビリティーはさすが。確かなオカルト知識に裏打ちされた悪魔崇拝教団が行う蛮行の数々は荒唐無稽ではあっても外連味たっぷりで陳腐ではない。今の時代からするとあまりのキリスト教礼賛と白人至上主義に「大丈夫か?」と思ってしまうが、悪人を容赦なく殺す探偵ド・グランダンのキャラクターは有りっちゃ有り。2016/09/29
すけきよ
7
グランダン・シリーズ唯一の長篇。世界各地の悪魔教団のコングロマリット化っていうのは、あまり見た記憶がなく、ちょっと面白い。ただ、互いの崇拝対象がどっちが上か喧嘩しないのか、それが心配に(笑)時代もあるんだろうけど、主人公たちの言動の背後に白人至上主義、帝国主義的な影がある。もっと露骨だと、逆にあっけらかんとするんだけど、彼らの微妙に保護者ぶった態度は、やはり気になっちゃうなぁ。冒険活劇的といえば聞こえはいいけど、似たような展開の繰り返しで、短篇の方が無駄がなくていいかも(物凄い面白いわけでないけど)2010/01/17
あちこ
5
犯人探しもなく、トリックもまぁすぐわかる……ので、純粋にミステリとして見るとやや物足りなさがあるかな? その分、殺し方のえぐさとか悪魔儀式の細かさ、設定なんかのオカルト部分が濃くて面白かった! あと言い回しがいちいちハイセンスでオシャレなのはよかった!2019/06/03
永田 誠治
2
『悪魔の花嫁』(S・クイン/創元推理文庫)を読んだ。期待以上に面白い。帯からして「邪悪なる儀式殺人。医学博士にして名探偵ド・グランダンが悪魔崇拝者を追う」だもん。320頁と量も読みやすい。猟奇的で魔術がかったグロテスクなオカルト事件に合理的な解決を期する名探偵の見事な冒険活劇。 2012/07/10
isaya569
2
この物語が発行されたのが、1932年 訳本が出されたのは 2010年、実に78年の隔たりがある。しかしながら、交通機関に自動車、通信に電話が登場している。インディ・ジョーンズばりの活劇におもしろさを見いだした。2010/05/22