出版社内容情報
火の時代、絶望の時代が近づいている。戦が始まる。おだやかな日々は吹き払われ、人々は踏み潰される。予言者が火の時代と呼んだそのさなか、いまだ無垢である〈風森村〉に、〈風の息子〉は生をうけた。彼が笑えばそよ風が吹き、泣けば小さなつむじ風が渦を巻いた。だが〈長い影の男〉がやってきたときすべてが変わった。人気ファンタジー〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ。コンスル帝国創世記の激動期を描く、シリーズ最初の物語。
内容説明
火の時代、絶望の時代が近づいている。戦が始まる。穏やかな日々は吹き払われ、人々は踏み潰される。予言者が火の時代と呼んだそのさなか、いまだ無垢である“風森村”に、“風の息子”は生をうけた。だが、“長い影の男”がやってきたときすべてが変わった。天と地のあいだ、オルリアエントの黎明の時代を描く、大人気ファンタジー“オーリエラントの魔道師”シリーズ始まりの書。
著者等紹介
乾石智子[イヌイシトモコ]
山形県生まれ、山形大学卒業。1999年教育総研ファンタジー大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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TERU’S本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
95
オーリエラント世界はじまりの物語。各地で戦が広がる暗い時代に、利用され裏切られ何度も絶望の淵に立たされる〈風の息子〉。希望を手放し自分の無力さを認めればきっとらくになる。それでも沈黙の書に導かれ困難な道を行かなければならない。人を人らしくするのは文明であり言葉。希望を口にすれば世界は変わっていくはずだ。壮大な世界の中に震災の影響も感じられた。まだ未読のものもあるし、シリーズを最初から読み直したくなった。2018/03/30
優希
57
面白かったです。物語に引き込まれ、共にオーリエルランドの始まりを見ているようでした。静かな語り口調ながらも、黎明の時代が感じられます。2020/09/06
眠る山猫屋
53
やっぱり良かった(笑)オーリエラント始まりの物語。まだ平和な時代、無垢な魔術師たちの村で育ったヴェリル。拐われ魔術戦士として利用された彼らは戦で命の重みを知り、逃亡する。追ってくるのは〝長い影の男〟。様々な地へ逃げながら、戦からは逃げ切れない。そして出逢いと別れ、裏切りと友情を体験しながら最後に辿り着いた地では蛮族の大進軍が待っていた・・・。ゲド戦記の成長譚をよりエッジを利かせた感じ。そして伝説をひとつひとつ拾うようにして旅するヴェリルが廻り逢い、遺す出来事は後のオーリエラントにちゃんと伝わっていく。2018/07/19
くたくた
37
これまでに読んだ乾石智子氏の物語の中では、一番消化不良気味。自分のイメージ力の貧困さにも泣く。人間の残虐さをリアルに描くと同時に、とてもメルヘンな神話的・童話的世界も描かれる。これが頭の中でハレーション。言葉が人間の絆となり平和の礎になる、というメッセージは分かるが、北の蛮族の描かれ方がどうなんだろう?言葉が通じない異民族や文明を持たない蛮族は、薙ぎ払い、一顧だにしないのか。と、とてもモヤってしまった。2025/02/09
ぐっちー
33
ぐっと遡って帝国創建以前の物語。各地の小都市国家が争いを繰り返していた時代から天と地に言葉が満ちてゆくまでの壮大な旅路。乾石さんが紡ぐ物語には、色彩も闇も風も匂いも手触りも隅々にまで言葉の力が満ちている。活字を読む歓びが文章から溢れて、シリーズを待ちわびる皆に流れ込む。原初のオーリエラントの人々が小さな星を受け取り希望を得たように。蛮族の襲撃は人々を素朴な政治体制から、より強大な国家へとシフトさせた。言葉は光。いつか争いはまた起こるだろう。完全なる平和の実現は無理だとしても次世代に繋いでゆこうという光。2017/11/09