内容説明
焼きつくされたトルマリン宮。ひとり生き延びた幼子は探索を逃れ、身内の手で辺境の吟遊詩人学校に預けられた。月日がすぎ、都ではグリフィンことトルマリン家を滅ぼした、バジリスクの家が権勢をふるっていた。水面下で反撃の機をうかがうトルマリンの残党。一方、辺境の学校にグリフィンと名乗る若者が現れたことから、運命の歯車がまわりはじめる。名手が奏でる復讐の物語。
著者等紹介
原島文世[ハラシマフミヨ]
群馬県生まれ。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
22
大抵は年頃の男女が活躍するマキリップ作品において、本作の主人公は既に大人になって、息子までいる。思いのままに復讐へと向かわず代わって祝祭で披露されるオペラの話(脇筋)が展開してゆく。頁も進むのにどうなるのだろうと別の意味で気をもませたがラスト近くで急展開、なんとか収まりをつける。但し、復讐の成就という意味では全ての者が過去の過ちを悔いて融和を図る形ではないので、カタルシスが今一つ。原題は「Song for Basilisk バジリスクのための歌」という意味なのに、邦題では「バジリスクの(所有格)魔法の歌」2011/01/02
アイゼナハ@灯れ松明の火
18
魔獣の出てくる話かと思ったら、魔獣の名を冠する公家の争いの話でした。滅ぼされた公家の末裔が吟遊詩人たちの間で育ち、音楽の魔力をつかむ前半部分は作者らしい幻想的な雰囲気に満ち溢れ、理屈ではなく、そういう力ってあるのかもって思わせてくれます。後半は名前を取り戻した主人公が都に戻り、バジリスクに一矢報いんとしますが…。ラストのヘクセル教授の一言に思わずニンマリしちゃったのは私だけ?2010/06/01
斑入り山吹
10
面白かった。マキリップ氏の文章はちょっと難しい。直裁ではなくて、イメージを心に描かねばならないから。そこに入れるかどうかが楽しめるかどうかの分かれ目なのだろう。わたしは好きだけど。主人公が歳をとっていくのでびっくりしてしまった。たいてい若者が主人公でしょう?話の収束の仕方が鮮やかだった。意外で唐突と思われる方もいるかもしれないけれど。劇中劇で幻想的な感じがジーン・ウルフ『調停者の鉤爪』を思い出させた。マキリップ氏の話は大好きなので、ちびりちびり、読むようにしています。(だからあまり読んでいない。)2011/02/27
いおむ
9
なかなか見つからなくて図書館より借りて読了。音楽と魔法を独特の比喩を多用した表現方法で奏でられた物語は素晴らしかった!中盤以降はまた違ったテイストの展開で面白く読めました。敵役の公女ルナが登場した瞬間からお気に入りのまさに殿堂入り(≧∇≦)b2016/03/25
cecilia
6
面白かったー。最初のシーンが好き。私はこういうマキリップの勢力争いというか政治闘争のお話も好きなのかも。 でも主人公がいきなりおじさんになって驚いた。お気に入り本。2010/11/05
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