内容説明
孤独な青年ブレンダンのもとに、オドと名のる女巨人が訪れた。魔法学校の庭師になってほしいというオドの求めに応じたブレンダンだったが、慣れない都の生活になかなかなじめない。一方王と顧問官たちは、歓楽街で興行する魔術師の噂に神経をとがらせていた。件の魔術師はただの興行師か、それとも本物の魔法使いなのか。幻想の紡ぎ手マキリップの謎と魔法に満ちたファンタジー。
著者等紹介
原島文世[ハラシマフミヨ]
群馬県生まれ。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さつき
39
再読。両親を流行病で亡くしたブレンダンは女巨人オドの招きで魔法学校の庭師になります。そこには過去の華々しい活躍を封印し安穏とした日常を過ごすヤールがいます。望まない婚約に心乱れる王女スーリズ。奇想天外なめくらましの魔術師ティラミンと娘のミストラル。彼らを追う地区警吏監のアーネス。最初はバラバラに思えた物語がだんだん一つに縒りあわさっていくのが心地よいです。ヴァローレンのあまりの空気の読めなさには、呆れを通り越し愛しさを覚えてまうほど。スーリズが真正面からぶつかっているのだから、そこは受け止めないと。→2016/12/02
星落秋風五丈原
25
さまざまな思惑を抱いた人々の群像劇スタイルを採っている。本来自由な発想で使いこなす所に魔法自身の意味があるのに、その中身を捉えきれない人間の側で枷をはめ、「決められたものしか認めない」というスタンスを取ったために少しずつひずみが出てくる。そもそも魔法自体が普通ではない(Odd=Od魔法使いの名前とかけている)ものであるから当然である。統制しようとする国家対自分の欲求を満たしたい個人の対立図が投影されているようにも、また、中東で起こっていた民主化運動とも重なって見えた。マキリップはもしかしてフェミニスト?2011/01/30
爽
21
「『オズの魔法使い』か」と思って手に取った。違ったけれど、おもしろかった。王に許された魔法しか学べないという制限によってそれ以外の異質なものを排除しようとする動きが、それを超えた新しいものを生み出している気がする。派手な戦闘シーンがあるわけではないが、生活に根付いたちょっとした魔法や学校全体の魔法を感じられて、こういう魔法もいいなあと思った。長編でもいいくらい、もっと世界観を味わいたかった。2020/07/26
Nat
21
読みたい本のストックが切れたので、次男の本棚から一冊借りてみました。あまり期待せずに読み始めたらとても面白く、掘り出し物でした。ワクワクして読み続けることができました。Amazonでパトリシア・マキリップの本を検索して2冊注文してしまいました。届くのが楽しみです。2019/04/17
ぽんちゃん
12
あまりストーリーに起伏がなくてなかなか入り込めなかった。魔法がたくさん出てくるけど、今ひとつ世界観がつかめなかった。面白くないわけではないけど、あっさりしすぎてよくわからない。美しい描写(翻訳がうまいせい?)が多いのにもったいない。2015/06/03