内容説明
1万2千年前、アトランティスが海中に没したのち、現存する歴史が記されるまでの空白期に、ハイボリア時代なるものが存在した。この時期の伝承を伝える年代記は、キンメリア生まれの英雄コナンの事跡を記している―30歳で夭折した天才作家が創造し、ヒロイック・ファンタジーの源流となった傑作シリーズを、著者のオリジナル原稿にもとづいた校訂のもと全6巻に集成して贈る。
著者等紹介
宇野利泰[ウノトシヤス]
1909年生まれ。東京大学卒。訳書多数。1997年歿
中村融[ナカムラトオル]
1960年生まれ。中央大学卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ホームズ
18
最近読んでいるハヤカワ文庫版と内容的にほとんどかぶっていた。しかしハヤカワ文庫版に比べるとかなり読みやすくなってますね(笑)しかし表紙のデザインが残念な感じなのがな~。挿絵が無かったことが良かった気がする。このままの絵で挿絵にされたら結構萎えた気がする。2013/01/24
名駿司
14
★☆☆☆☆ コナンシリーズ1巻。アトランティスが海中に没した後、歴史空白期のハイボリア時代という設定、ヒロイックファンタジーの源流という点に惹かれて改めて読んでみた。しかしまさかのオール短編。各章ごとに違う国に現れ、神官という名の権力者や魔物や神?を相手に暴れている。が、その背景も目的も想いも不明なまま。信念だけは後半で少々見られたが、これらが分からないままでは魅力も活きない。神話にも期待したが。100年近く前のものとは言え残念。各話には面白さもあり、『像の塔』は良かった。2巻も借りていたが読まずに返却。2019/03/19
白義
14
文明の外側にある遥かに広大で荒々しいものへの畏怖が全編に貫かれている。クトゥルー神話にも似た、人智を超越しその存在が宇宙的混沌と繋がった怪物や神々たちが蠢く闇の世界、畏ろしき者達に屈強な肉体一つで立ち向かうは蛮人コナン。血沸き肉踊る筋肉モリモリ感の中に妖しい美しさを漂わせる格調深い文章がそれらを彩る。ハワードがラヴクラフトと親友だったこともあってか、コズミックホラーSF的な広がりを持つ作品もあるが、コナンはクトゥルーの犠牲者たちとは異なり高貴な野蛮さを持ち屈することのない、まさに戦士的理想の体現者である2015/06/10
三谷銀屋
6
ヒロイックファンタジーの先駆けということでストーリーの骨子は王道だけれど、奇怪な怪物や異形の神が出現する禍々しさや怪奇的な雰囲気に充ちた世界観が魅力的だった。主人公のコナンも自分の野生的な直感で「こいつは斃してもよい」と判断すると躊躇わず相手の頭をかち割ったり、剣で両断してしまうのでなかなか血腥い英雄だが、その荒々しい蛮勇ぶりと生命力の強さが爽快にも感じられ、怒涛のように展開する物語に引き込まれた。ミステリー調に話が進む「石棺の中の神」、からくり屋敷からの死の脱出ゲーム「館のうちの凶漢たち」が面白かった。2020/11/17
shou
5
剣と魔法の物語の源流とされる作品群。古代神話のような荒々しい英雄譚と、妖しくも力強い幻想の世界が醸し出すエキゾチックな魅力。2015/12/09