出版社内容情報
アーサー・マッケンは平井呈一が最も愛した怪奇小説家だった。二十代の頃、友人から借りた英国の文芸雑誌で「パンの大神」に出会った平井青年は、読後の興奮収まらず、夜が明けるまで東京の街を歩き回ったという。戦後その翻訳紹介に尽力、晩年には『アーサー・マッケン作品集成』全六巻を完成させた。太古の恐怖が現代に甦る「パンの大神」のほか、大戦中に英国の或る地方を襲った怪事件の顛末を描く中篇「恐怖」などの七編に、作品集成の解説すべてを併載。
内容説明
アーサー・マッケンは1863年、ウエールズのカーレオン・オン・アスクに生まれた。ローマに由来する伝説と、ケルトの民間信仰が受け継がれた地で、神学や隠秘学に関する文献を読んで育ったことが、唯一無二の作風に色濃く反映されている。古代から甦る恐怖と法悦を描いて物議を醸した、出世作にして代表作「パンの大神」ほか全7編を平井呈一入魂の名訳にて贈る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あたびー
44
#日本怪奇幻想読者クラブ 平井呈一翁の訳によるマッケン傑作集。平井翁の文調に慣れないお若い方々にも、そっぽを向かずにぜひゆっくり味わっていただきたいと思う。「パンの大神」は創元の怪奇小説傑作集にも入っている言わずもがなの作品。「内奥の光」は「パンー」に連なる同系列的な作品で、医師ブラックが妻(華岡青洲の妻だなあ…)にどんな術を施したかはハッキリしないが、その精神が宿った美しいオパールを所持し、妻は抜け殻の鬼人となって夫に殺されるなんて、可哀想すぎる😢2021/08/11
そふぃあ
24
「文学と超自然的恐怖」でラヴクラフトがマッケンを評価していたのを見て気になっていた。“人間が見ている世界と本当の世界は全く違うのではないか?“というテーマが全体にあり、それは現代でも通じるものだからこそ今でも面白く感じるのだと思う。有名な「パンの大神」は上記のテーマが濃く反映されていて、異界への入口が身近にあるのではという仄めかしに恐怖が募る。顛末のグロテスクさも好き。 平井氏の翻訳は江戸っ子みたいな口調でなかなか変わった訳文だった。作品集成の解説が6巻分収録されているという充実の内容。2021/10/26
かずぼう
21
「パンの大神」が一番読みやすく、恐怖の描き方も良かったと思う。2024/04/23
まさ☆( ^ω^ )♬
17
「パンの大神」をKindleの読み放題で読んだ事がありました。今回はジャケ買いならぬ、表紙が気になり購入。非常に面白かったです。文字が多くて...結構集中力を要しまして、数日かかりましたが楽しい読書でした。ホラーの元祖?まさに怪奇小説!という作品群。表題作の「恐怖」はドキドキしながら読みましたよ。これはいつかまた再読したいです。2021/08/20
Porco
14
ジャンルとしての古典作品に触れたい人向け。【パンの大神】を読みたいがために購入したが、不明瞭な恐怖に惑う群衆を描いた群像劇【恐怖】など粒揃いではあると思う。現実に影響及ぼした【弓兵】を未収録としているあたりマッケンのそこに在るが理解できない怪異を顕した文学を紹介したいという意図を感じる。訳した年代も古典と言ってさしつかえないため、些か読み辛いと思うなど気になる点あるもののそれは古典の常のためしょうがない。2022/08/27
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