感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
146
サイコーです。とんでもなく面白くて、優しさがあって、時々吹き出しちゃうミステリ。今のドイツミステリの中にこの系譜は受け継がれているなと感じて嬉しくなった。日本での出版は1970年で第19版。「飛ぶ教室」を探しに本屋さんで見つけて、あっこれもケストナーだと思って手に取った本。書かれたのは1935年。彼の本はほとんど焚書に伏せられ、秘密警察にも逮捕された後、それでも「国民が最悪の運命を耐え忍ぶ時、ひとり安全な場所に避難するべきではなく」と、ドイツにとどまっている時に書かれた作品。声もない。2020/05/06
NAO
66
児童文学作家として有名なケストナーが戦時中の亡命先スイスで書いた軽いユーモア小説の一つ。家出した肉屋の親方が高価な細密画の運搬を依頼されて事件に巻き込まれるドタバタ劇。美術収集家の秘書の動きは最初から窃盗団にバレバレなのだが、さらに予想外の出来事や偶然の出来事がややこしく絡み合っていく。深い話ではないので、ちょっと元気がないときや、息抜きに読むのにちょうどいい本。2021/11/19
ユメ
32
コペンハーゲンへやってきた肉屋の親方キュルツ氏は、偶然知り合った美術品蒐集家の秘書イレーネ嬢に頼み事を持ちかけられる。イレーネ嬢は主が競り落とした高額な密画を携えており、盗難を恐れてキュルツ氏に協力を仰いだのだ。このキュルツ氏がとにかく人が好い。小難しい話が苦手、義憤に駆られるとすぐ行動に移してしまうため謀には不向きなのだが、そこがこの物語をコミカルに演出している。盗み出されたかに思われた密画の行方は二転三転し、最後まで飽きさせない。謎の青年シトルーフェ氏の活躍ぶりが小気味よく、大団円に拍手喝采した。2019/09/26
ごへいもち
28
読んだのは古い版。古き佳き時代のユーモアミステリ。訳のせいか悪者も紳士的でユーモアがあったりして2013/06/30
たま
19
正直者の肉屋のキュルツがひょんなことからある事件に巻き込まれて…という話。キュルツのバカ正直でお人好しな性格が滑稽で可笑しかったり、悪者が100%悪になりきれていなくて間抜けだったりと、いたるところにコメディー要素があって面白かったです。犯罪小説といえばそうだけど、血生臭かったりドロドロしたところがなくて、陽気に読めました。2013/03/22
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