内容説明
神経の不調に悩む女にあてがわれた古い子供部屋。そこには、異様な模様の壁紙が貼られていた…。“書かれるべきではなかった、読む者の正気を失わせる小説”と評された、狂気と超自然の間に滲み出る恐怖「黄色い壁紙」ほか、デモーニッシュな読後感に震撼すること必至の「宿無しサンディ」等、英米の淑女たちが練達の手で織りなす、本邦初訳の恐怖譚12篇を収めた一冊、文庫化。
著者等紹介
倉阪鬼一郎[クラサカキイチロウ]
1960年、三重県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒。1987年、『地底の鰐、天井の蛇』でデビュー
南條竹則[ナンジョウタケノリ]
1958年、東京都生まれ。東京大学大学院文学部英文科修士課程修了。1993年、『酒仙』で第五回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞
西崎憲[ニシザキケン]
1955年、青森県生まれ。青森県鯵ヶ沢高等学校卒。2002年、『世界の果ての庭』で第十四回日本ファンタジーノベル大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紅はこべ
108
「名誉の幽霊」と「故障」が好み。表題作が気持ち悪いと同時に理解できない。恐怖にはちょこっとユーモアの味つけがあるのが好き。マンスフィールドってこういうの書くんだ。「園遊会」しか読んだことないけど。関係ないが、村上春樹の短編「眠り」の主人公はマンスフィールドで卒論を書いた。2024/04/10
yukaring
71
英米の女流作家たちの怪談集。どちらかというとホラーより世にも奇妙な物語系が多い印象。そして今回"とにかく怖い"と評判のギルマンの『黄色い壁紙』を初読み。これは怖いというより、とにかく気持ちが悪く狂気と現実の間で揺らぐ闇に引き込まれてしまいそうな不安定感と後味の悪さが絶妙。無数の女が壁紙の中で這い回るイメージは想像するとトラウマもの。他にも理由もわからずただひたすら不気味な男に追われる女性の恐怖『追われる女』や悪魔的なラストの解釈にゾッとさせられる『宿無しサンディ』など不条理な恐怖がぎっしり詰まった短編集。2023/07/27
こばまり
52
セガンティーニの表紙に魅せられほぼジャケ買い。12人の女性作家による古式ゆかしき幕の内弁当といった体。本編はさておき、かのウィルキー・コリンズと並び称された人気作家で80を超える長編と夥しい数の短編を発表。しかし今日の鑑賞にたえる作品は数編の怪談のみとの一刀両断なプロフィール紹介が何よりも私を震え上がらせた。2016/06/30
アマニョッキ
49
シャーロット・パーキンズ・ギルマン「黄色い壁紙」目当て。原稿を持ち込まれた編集者が「この読後感を世に出すことはできない」と出版を断ったという。訳者の西崎憲さん(大好き!)によれば、原文の「改行」にこそ恐ろしさがあるらしい。えー!無理無理!訳本でも充分すぎるぐらいメンタルえぐられました。一種のフェミニズム小説とも読める傑作。この短さでこの読後感…確かに。2020/04/21
KI
38
行間が静かに沈黙している。2020/08/24