内容説明
仮面舞踏会に連れ出された青年が、悪夢にも似た一夜を過ごすジャン・ロラン「仮面の孔」など21編に加え、澁澤龍彦の70枚に及ぶ名解説を収録。
著者等紹介
澁澤龍彦[シブサワタツヒコ]
1928年東京に生まる。東京大学卒業。1987年歿
青柳瑞穂[アオヤギミズホ]
1899年山梨に生まる。慶應義塾大学卒業。1971年歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青蓮
102
読友さんの感想より。フランスの怪奇小説21作品を集めたアンソロジー。澁澤龍彦訳の作品の幾つかは別の本で既読でしたが、久々に読んで楽しめました。サドの「ロドリゴあるいは呪縛の塔」は彼がこんな作品を書いていたなんて何だか意外な感じ。「解剖学者ドン・ベサリウス」「死女の恋」「罪のなかの幸福」「恋愛の科学」「奇妙な死」などお気に入りが沢山です。特に「奇妙な死」はロマンチックな風合いもあって、いかにもフランス小説っぽい気がします。澁澤龍彦によるボリュームたっぷりの解説もとても興味深く読みました。面白かったです。2017/07/21
藤月はな(灯れ松明の火)
72
ハロウィン期間に急に読みたくなり、再読。英米編は色々なアンソロジーで読み過ぎて再読しなくてもすぐに内容を思い出せるものばかりなんですが、このフランス編は結構、清教徒思想に絡めて啓蒙思想やSF、グランギニョールの先駆けみたいな作品もあるのでニッチな選出ばかりなのが新鮮です。澁澤龍彦氏の典雅でいて軽妙な翻訳もお気に入り。「ロドリゴ」は再読するとSFっぽい要素も見えるのが面白い。「ギズモンド城」は幽霊自身がおしゃま且つ可愛らしくて男がメロメロになるのも納得です。「解剖学者」はまさにグランギニョールに映えそう2016/10/29
中玉ケビン砂糖
67
前掲補記本として。澁澤名解説が多くを語ってくれている(以下引用意訳)。近代フランスの「怪奇小説」と銘打つのは帯に短し襷に……という感じにいささか歯痒く、なぜかといえばその政治・文化的経歴から先進的に論理・合理性を重んじる(探偵小説の祖が誕生したように)という伝統が強いのだ。故に人物の内面や心理の機微をいかに描くか、あるいは科学啓蒙主義的(そしてそれへのアンチテーゼ)な作品、または主語の異様に大きい「人生」や「実存」を材に採るものが本道である。2023/05/06
かわうそ
24
澁澤龍彦の解説によるとフランスには伝統的にいわゆる怪奇小説が少ないとのことで、他の巻と比べてかなり幻想・奇想小説寄りのセレクション。今読んでも現役感があるのはこっちの方かも。お気に入りは「列車〇八一」「オノレ・シュブラックの消滅」「自転車の怪」あたり。2017/12/09
藤月はな(灯れ松明の火)
21
英米編とは異なり、ロマン情緒の中に奇想天外な構成で魅せられました。サドの淫靡な文体表現のある「神曲」を髣髴とさせる幻想小説と澁澤氏の重厚かつ耽美な響きのある訳が嬉しいです。最後の澁澤氏の解説も心憎いです><この傑作編を所蔵している図書館にはないのですが5巻も是非、読んでみたいです(悲願)2010/11/10