内容説明
「恐怖は人間の最も古い、最も強い情感だ」―H・P・ラヴクラフト。かくして人間は、恐怖を手なずけ、さらには恐怖を愉しむために怪奇小説を発明した。本アンソロジー全5巻には、その代表的な名作が網羅されている。この英米編2には、ふと肩越しにかいま見てしまったあるもののせいで、一生を隠者として暮らす男を描くJ・D・ベレスフォード「人間嫌い」など、全14編を収録。
著者等紹介
中村能三[ナカムラヨシミ]
1903年福岡県に生まる。訳書にコリンズ「月長石」など多数。1981年歿
宇野利泰[ウノトシヤス]
1909年東京に生まる。東京大学卒業。訳書にブラッドベリ「10月はたそがれの国」など多数。1997年歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
268
本シリーズの2巻。前巻の怪奇小説黄金時代に続く次世代の作品14篇を収録。時代的には20世紀初頭の頃で世相の変化に伴い、本巻に収録されている作品も前巻に比べ、様変わりしている。従来のゴシック・ホラーを脱し、モダン・ホラーへ進む途中であり、その先頭を走る作家たちの試行錯誤する苦闘を思い知ることが出来る。よって物語の完成度からいえば、いささか不十分な作品もあるが、自分的には”ポドロ島””みどりの想い””人狼””テーブルを前にした死骸””住宅問題””卵形の水晶球””こびとの呪い”といった当たりが面白かった。2017/01/24
鷺@みんさー
29
既読も多かったが、やはり定番は外れなし。「船を見ぬ島」が良かった。なんという楽園の牢獄か。「こびとの呪い」はやはり、再読してもその生々しい不気味さに息を飲む、傑作とはこうして色褪せぬものだなぁ。2022/06/08
あたびー
25
【護国寺読書会「K社のとなり on WEB」お題「オオカミ」のために「人狼」を再読】人狼と狼男はどこが違うのだろう?満月を見ると狼になっちゃうのが狼男で人間に化けた狼が人狼だろうか。題名ズバリそのもの人狼である。事情があり山深く隠れ住む親子3人の元へ、ある日男とその娘が転がり込む。美しいが禍々しいその娘に父親は惹かれ妻に迎える事に。それから起こった災厄。そして山の精霊の呪いはアジアまでも追いかけてくる。厳しい自然と逃れられない運命の悲惨さ。作者マリヤットは海洋小説の巧者だそう。2020/09/07
藤月はな(灯れ松明の火)
23
「人間の偽善性なんてクソ食らえ」(汚い言い方で失敬)と思っているものとしては「ポドロ島」のアンジェラのような狂った善意の象徴とも言える様な存在に嫌悪していたので結末にニヤリとしてしまいました。「帰ってきたソフィ・メイソン」では男性の酷薄さが描かれていて厭な気持ちになりました。小学生の頃、アンソロジーで読んでいた「人狼」や子供の残酷さを描いたサキの作品がまた、読めて嬉しかったです^^2010/11/08
かわうそ
20
時代が下って現代の感覚でも楽しめる作品が多い。ハートリイ「ポドロ島」、コリアー「みどりの想い」、カットナー「住宅問題」あたりがお気に入り。2014/07/20