出版社内容情報
解剖中の遺体から発見された告発文。黒い絨毯の上で踊る死者──大学医学部で次々起こる不可解な事件。若き女性解剖学者が医学教室の謎に挑む! 第16回鮎川哲也賞受賞作。
内容説明
解剖実習中、遺体の腹部から摘出された一本のチューブ。その中には、研究室の園部教授を告発し、脅迫する謎の四行詩がおさめられていた。教授を慕う助手の千紗都は犯人を突き止めようと密かに調査を始めるが、嘲笑うかのように次々と不気味な出来事が起こる。園部の研究室を狙うのは誰か。やがて驚愕の真実が…。大学医学部の暗部に迫る医学ミステリ。第16回鮎川哲也賞受賞作。
著者等紹介
麻見和史[アサミカズシ]
1965年千葉県生まれ。立教大学文学部卒。2006年、『ヴェサリウスの柩』で第16回鮎川哲也賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
266
麻見和史さんの医学ミステリーのデビュー作です。本書を含む最初の2冊は東京創元社さんから出された医学ミステリーで素人を主役に据えた作品でしたが、3作目から警察小説に切り替えて人気が出たとの事ですね。という事で本書では作者の魅力全開の域まではまだ達していないようですが、でも逆に言えばデビュー時の初々しさをうかがい知る面では貴重だと思いますね。大学の医学部での解剖実習中に遺体の腹部から一本のチューブが摘出され中には研究室の園部教授を告発し脅迫する謎の四行詩が入っていた。本書のヒロイン千沙都は教授を慕う助手です。2023/07/26
KAZOO
134
麻見さんのデビュー作品を読んでみました。これが鮎川賞を受賞した作品でした。私は最近の鮎川賞作品を読んだのですがあまり合わなかったのですが、これは結構楽しめました。解剖学や医学部の象牙の塔の中でのやり取りが多くあってマニアックな世界ですが、私は皆川博子さんの作品を思い出したりしながら読みました。最初にこれだけの作品を書くのは大したものだという気がします。それにしても麻見さんは女性が主人公のものが多いですね。2018/07/20
森オサム
69
解剖実習中に遺体の中からメッセージの書かれた紙が発見される。いったい何時、誰が、どうやって仕組んだのか?掴みは完璧でした。しかし余りにも大きな仕掛けは、その必然性や整合性の為に強引な設定を必要としてしまう。ラストまで読んで説得力を感じるかどうか、鮎川哲也賞受賞作として本格推理と呼べるかは、評価が難しいかも知れません。個人的には、主人公=ヒロインに魅力を感じず、応援する気になれなかったのが残念な所。とは言え、読み易い文章と飽きさせず連続する事件で、サスペンスミステリーとしては十分面白かったかなと思いました。2018/06/09
ナミのママ
61
第16回鮎川哲也賞受賞作。テンポの速い如月塔子シリーズなど警察モノを続々と書いている麻見さん、デビュー作はどんなだったのかと読んでみました。大学の解剖教室が舞台、遺体から摘出されたチューブに書かれた告発文と次々の起こる事件。グロイ表現が多いです。スピード感はないものの丁寧に書かれている印象です。なんで警察に届けないの?など、疑問に思うところも多々あったけれど、これ好きです。本当にデビュー作なんですよね?読み応えがありました。2018/09/02
papako
38
著者のデビュー作。いろいろ盛り込まれているなぁ。塔子さんのシリーズを先に読んだので、少しまとまりにかける印象でした。男の執念が怖い。犯罪の元凶となった男の心が描かれないので、周りで人がおどらされた本当がわからないけれど、怖ろしく気の長い復習が生んだ悲劇が寒々しかった。。。2014/03/31