出版社内容情報
逆光を浴びステージに登場したボーカルは、突如悲痛な叫び声をあげるとその場に頽れた。彼の胸には千枚通しが突き刺さっていた。衆人環視の中での不可解な変死により、ロックバンド〈赤い青〉は活動休止に追い込まれる。事件直前、カリスマ的なギタリストが冒した、彼に似つかわしくない凡ミスは事件と何か関係があるのか? ライブハウスのスタッフである梨佳は、あの日なにが起こったのかを考え始める。本格派新人、感動の第一長編。
内容説明
逆光を浴びステージに登場したボーカルは、悲痛な叫び声をあげるとその場に頽れた。彼の胸には千枚通しが突き刺さっていた。衆人環視の中でのボーカルの不可解な変死により、ロックバンド“赤い青”は活動休止に追い込まれる。事件直前、カリスマ的ギタリストが演奏中に犯した、彼に似つかわしくない凡ミスは事件と何か関係があるのか?無冠の大型新人による、感動の第一長編。
著者等紹介
鵜林伸也[ウバヤシシンヤ]
1981年兵庫県生まれ。立命館大学文学部史学科卒。鮎川哲也賞やミステリーズ!新人賞への応募を続けていたところ、2009年に鮎川哲也賞へ投じた長編『スレイプニルは漆黒に駆ける』が編集者の目に留まり、翌年に短編「ボールがない」が書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー『放課後探偵団』に掲載される。18年に長編『ネクスト・ギグ』を刊行し本格的デビューを遂げた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
309
読者を選ぶ作品。ロック哲学と本格ミステリが、どちらかがおまけになることなく融合している点は本当に珍しい。ただし、ロックと絡めることで独善的に進行する推理や、ロック語りをするためだけに無意味に提示される「なぜ天才ギタリストはミスをしたのか」という謎というかなんというか、天才だってミスするに決まってるのにそれを謎としちゃうって物凄い世界観だなと突っ込みたくなるガジェット、よほど運に自信がなければ実行する気にはなれない密室殺人etc、ミステリ面で目を引くものはない。ロック懐古したい人に刺すという狙いは成功。2025/03/23
おうつき
33
ロックバンドのライブ中に起きた殺人事件を描いた本格ミステリ。「ボールがない」が面白かったので、気になっていた作家の第一長編。テーマと謎解きがこれ以上ないくらいマッチしていて、感動的な作品。音楽業界とミュージシャンの苦境を描きながら、その中に巧妙に手がかりを張り巡らせる力量に舌を巻いた。探偵役の存在を含めた全ての要素が綺麗に収束していき迎えるラストに爽快感を覚えた。2022/08/07
シキモリ
27
ロックバンド小説×本格ミステリーが融合したデビュー作。私は著者と同学年で、90年代以降のバンド文化に多少馴染みがあるので、音楽小説としては文句のつけようがない出来だと思う。業界を取り巻く厳しい現状やコンポーザーが抱える生みの苦しみ等の描写は特にリアリティがある。トリックの種明かしには拍子抜けしたものの、肝心な犯行動機が今作のテーマにきちんと基づいており、このジャンルにしては人間ドラマがしっかりと描けているのも好印象。然しながら、探偵役がこういった形で事件に介入し、解決してしまう手法はやはり好きになれない。2022/07/30
きたさん
23
これは本当に素晴らしかった。解説で有栖川先生も書かれていたように、がっつり音楽=ロック小説でありながら、まごうことなき本格ミステリでした。二つの要素が綺麗に混じり合うと、ここまで気持ちよく読書ができるものなのかと感心すら。アンソロジー『放課後探偵団』収録「ボールがない」の作者だと聞いてどこか淡さを感じさせる人間の描写にも納得。私が好きなミステリの要素が詰まった作品でした。2022/09/10
ちえり
18
初読み作家さん。帯にあった有栖川先生の解説目当てに購入。無冠の大型新人作家さん、有栖川先生の創作塾の生徒さんだったんですね。なるほど。もうねぇ〜全編ロックですよ!ロック愛に溢れてます。もちろん本格ミステリなんですが、ロックだわぁ〜。ロックのこと知らなくても面白かったですよ、ほんと。ただ、途中まで探偵役だと思ってた主人公が、その役を急に別人に取って代わられるのはちよっと残念だったな。他の作品も読んでみたい。2023/08/26