内容説明
それぞれのパートナーと同居している、ギンちゃんとムーちゃんの兄妹は一風変わった名探偵だ。実は彼ら兄妹は、人間の生命エネルギーを糧にする謎の生命体。宿主であるパートナーの「おいしい」清らかな生命エネルギーが濁らないように、偶然遭遇した殺人事件や騒動を、鋭い観察をもとに鮮やかに解き明かす。個性的な設定とシャープな謎解き、そして切なさが魅力の連作ミステリ。
著者等紹介
石持浅海[イシモチアサミ]
1966年愛媛県生まれ。九州大学卒。2002年、カッパ・ノベルスの新人発掘プロジェクト“KAPPA‐ONE”第一期生として、『アイルランドの薔薇』でデビュー。特殊な状況設定下での端正な謎解きに定評がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ダイ@2019.11.2~一時休止
123
連作短編集。白衣の意匠は第一話で既読。キャラ設定はSFだが内容はノーマルな安楽椅子探偵モノで面白かった。表題作の終わり方がイイ。2015/09/04
momi
48
「謎の生命体」を受け入れることができるならば…この作品は面白い!SFです!人間のエネルギーをご飯にして生きている謎の生命体「ギンちゃん」と「ムーちゃん」兄妹!!人間の世界で人間の姿形をし生活する二人が、それぞれの人間の宿主とともに殺人事件を解き明かすストーリー!!結末で、題名の「温かな手」の意味がわかると…泣きそうになりました!!切ないけど、やさしくて温かい気持ちになる…。好きなラストです!!2013/07/10
rio
37
人間の生命エネルギーを吸収する謎の生命体と同居する主人公。彼等が巻き込まれる事件をその生命体が鮮やかに解決する連作短編集。設定の不思議さを除くと、オーソドックスながらも興味をひかれる事件でミステリー部分について堪能できました。奇抜な設定は石持さんらしく、オーソドックスなだけに時の経過とともに忘れがちな物語を、設定の異様さで補填しているかのようです。SFとミステリーという非現実と現実が織り混ざる異色な物語でした。2015/03/25
ジンベエ親分
36
ギンちゃんとムーちゃんの兄妹は、人間の生命エネルギーを吸い取って食糧にする謎の生命体で、それぞれパートナー(食糧)と同居している。この2体の宇宙人(と解説で勝手に断定されてる笑)が探偵役となる連作短編集。それぞれのパートナーとの絡み方が面白く、独立して語られていた2組のカップル(ヒトとヒトならざるモノだが笑)が合流する最終話は、不覚にも泣かされた。「暖かな手」というタイトルそのまんまの話。うちにもムーちゃんに来てほしいなー。まあでも、私の魂はそれほど美味くないかもなー。まさか石持浅海に泣かされるとは笑2018/01/10
マッちゃま
33
帯に書かれた「石持ミステリの真骨頂」の言葉に偽り無しの面白さ。7作からの連作短編集。本書の探偵役はギンちゃんとムーちゃんの兄妹。2人は人間から生命エネルギーを摂取する為に人間に擬態した謎の生物。良質なエネルギーが得られる綺麗な心の持ち主と同居し、その持ち主が巻き込まれた事件を彼らが解き明かしていくストーリー。何やらワケワカメな設定ですが謎解きはシッカリとした本格ミステリ。読んでる途中まで「この設定、必要か?」なんて思ってましたがラストで納得♪この設定、よく思い付いたなと思っていたら、あとがきで其方も納得。2019/10/31