内容説明
夜が明けても伯母は帰らなかった。今泉酒造の奔放な家付き娘ながら、無断外泊は一切したことのないあの伯母が。愛する瑞生の美しい横顔をみつめながら、想子は不安にとらわれる。彼は、何を知っているのか―。夏の気怠い空気の向こうに次第に浮かび上がる、殺人事件の意外な真相とは。実力派作家が夏の終わり、少女の時間の終わりを繊細な筆致で綴った上質な青春恋愛ミステリ。
著者等紹介
図子慧[ズシケイ]
1960年愛媛県生まれ。86年、『クルト・フォルケンの神話』で第8回コバルトノベル大賞に入賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
60
伯父の留守中に伯母が外出することはあっても必ず朝には帰宅していた。でもその日伯母は朝になっても帰って来なかった。そして・・。1991年に集英社から刊行されたものに加筆し、今回東京創元社から出版されたようです。2時間ドラマで放映されても悪くない設定なのですが、ちょっと物足りなさを感じたのが残念でした。ヒロインである想子を始めとする登場人物の誰一人として、強烈な個性を持った人物がいなかったので全体的にぼやけた印象が残りました。とはいえ唐沢がその後どうしたのかは知りたいかな。★★★★2012/09/10
kochi
21
四国の造り酒屋冷泉家の当主夫人で、男の噂の絶えない蓉子が行方不明となり、やがて死体となって発見される。金目当ての犯行か、愛情のもつれか、警察の捜査が行き詰まるなか、息子の瑞生と従姉妹の想子は犯人をあぶり出すために一計を案じるが… あらすじからはドロドロとした陰湿さを感じるかもしれないが、主人公の若い二人が、どことなく頼りなく、クライマックスは大人が活躍し、ラストシーンの「オトナの一歩手前です」という感じの青春小説。2016/12/08
紅
13
夏の終わりの空気感がとても物悲しいミステリでした。帯の「事件の終わり。そして、少女の時代の終わり」というのは、罪を知ることで少女じゃなくなるということなのでしょうか。2014/01/25
naminnie
9
爽やかなミステリー。人が死んじゃうのだけれど、悲しいとかそういうのはあまり無かったなぁ。登場人物と少々距離を感じてしまいました。2011/01/17
ダージリン
8
造り酒屋を舞台に、美しい伯母の死、病弱美少年、イトコ同士、一夏の物語・・・で連想されるそういうお話(笑)。恋愛よりミステリーがメインですが雰囲気が実にいい!2010/11/11
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