内容説明
ニューヨーク、マンハッタン。高層アパートの一室で、死の床にある大女優が半世紀近く前の殺人を告白した。事件現場は一階、その時彼女は34階の自室にいて、アリバイは完璧だったというのに…。この不可能犯罪の真相は?彼女の言うファントムとは誰なのか?建築家の不可解な死、時計塔の凄惨な殺人、相次いだ女たちの自殺。若き御手洗潔が摩天楼の壮大な謎を華麗に解く。
著者等紹介
島田荘司[シマダソウジ]
1948年、広島県生まれ。武蔵野美術大学卒。『斜め屋敷の犯罪』等の御手洗潔もの以外にも吉敷竹史もの、社会派、ユーモア・ミステリなど幅広い執筆活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gonta19
90
2009/5/30 博文堂書店なんばウォーク店にて購入。 2015/7/6〜7/14 6年ものの積読本。御手洗潔の若かりし頃のエピソード。以前も書いたかも知れないが、御手洗シリーズは謎を自分で推理して楽しむ、というよりは、島田氏がどこまでやってくれるか、を楽しむものになってきている。その意味では本作は大成功。2015/07/14
勇波
81
御手洗氏がまだ外国でコーヒーを飲んでた頃の物語です。タイトルに負けない素晴らしい内容でした。本家『オペラ座の怪人』のヒロインのような魅力はサリナスさんには無かったけど。。建築物に絡めた圧倒的なトリックはこのシリーズの醍醐味でもあります。今作の探偵助手を務めるのは劇作家のジェイミー君。石岡君より遥かに聡明で、物語の進行もテンポ良く御手洗さんもやりやすそうな(笑)近年このシリーズ個人的に楽しめる作品が見当たらない中で、少し前の今作を大変楽しめたのがなんだか寂しい★2016/09/11
NAO
63
1916年の女優の死、1921年に起きた4つの死亡事件。当時事件の捜査に当たった警察官の視点で描かれたパートが何度か挿入されているが、時計塔での事件はとにかく残虐でグロテスクだ。建物がどんどん高層化して摩天楼となった都市。この作品は、その高層ビルの中でも古参のビルが持つ妖しさを描いている。作者自身も後書きで書いているように女優と魔人の恋と幻想的な雰囲気は『オペラ座の怪人』に似ていて、作中でミスリードを誘う描写もあるが、オペラ座の怪人がフランス的なのに対して、こちらのファントムはいかにもアメリカ的だ。2024/11/28
Tetchy
44
島田荘司、数年の沈黙を破っての大作。御手洗シリーズの新作を待望していた読者の渇きを癒すのに十分な内容だ。そして物語全体に散りばめられた謎は今回も御手洗の閃きによって暴かれるが、果たしてこれを本格ミステリと呼んでいいものか疑問が残る。確かに手掛かりとなる暗号もあれば、事件現場の見取り図も読者に提示されている。が、しかしそれでもこの真相を看破できる読者は皆無であろう。こうしてみると、もはや御手洗シリーズは読者との推理合戦の領域を超越し、作者の奇想の発表の場になってしまったのだなと一抹の寂しさを感じる。2010/04/17
やっちゃん
40
起承転結の「起」がクソ長いのはいつもの島田荘司。相変わらずぶっ飛んだ超常現象、これを理屈で押さえつけちゃうのが凄すぎる。でも50年て‥あと地下都市の章はなんだったんだ?NY!NY!あいつを愛したらNY!NY!星になるだけさ♪2023/03/02