内容説明
崖に聳えるガラスの館。かつてそこで命を落とした少女、千波は再びの生を得て、青年学者の吹原と出会う。しかし二人の前世からの縁と、吹原の一族に潜む愛憎がもたらす過去の悲劇が、千波に新たな試練を課した。前世の思い出を映す未来に導かれるように、千波は崖の館をめざし、歩きはじめる。少女と館を巡る三つの物語、完結。単行本未収録作品「肖像」を併録する。
著者等紹介
佐々木丸美[ササキマルミ]
1949年北海道生まれ。75年『雪の断章』でデビュー。77年『崖の館』を発表、抒情と幻想を湛えた独自の作風で人気を博す。2005年12月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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相田うえお
107
★★★☆☆ 19088『館シリーズ』3部作完結編!前2作品を前世とした生まれ変わり後という時間軸把握がややこしい設定ではあるのですが、どこで『崖の館』と結びついていくのか?または、殆ど交わる事なく平行に辿るのか?気になってページが進みました。後半は、もう恋愛ファンタジーですね。(本作品は前2作品とは少し毛色が異なります。)本シリーズはどれも癖の強い独特の雰囲気がありますので、どなたにもおススメできるものではありませんが、愛は輪廻転生後も引き継がれるというテーマ(だと思うんですけどね)に興味があれば是非!2019/09/16
セウテス
64
館三部作第3弾〔再読〕館シリーズ最後ですが、完結編とは言い切れない。ストーリーを千波の思いと位置づけるなら、一通りの終演となるのかも知れない。少女の恋心を描いた恋愛小説であり、少女の内面性を探求するという意味でミステリと言えるのか。ただし神秘性に重点が置かれており、幻想ファンタジーの意味合いが強い。これ1作を読んで佐々木丸美の世界を感じる事は、難しいと思う。本シリーズから「雪の断章」の孤児4部作へ、更には伝説シリーズへと世界はリンクしている。作者の作品は一つのピースであり、合わさって初めて絵が見えるのだ。2017/02/23
雪紫
54
再読。輪廻は巡り、館に収束する。館三部作完結編。前2作のみを読んでた初読の時は話の変わり具合に困惑してたけど、全作品読破の後の再読だと終盤まで「わたし孤児シリーズ読んでたっけ?」感が強くて別の意味で困惑する。ミステリ要素は心理と神秘に置いてるのも、丸美さんが追い求めるミステリ(謎)を、突き詰めているからこそなんだろうな・・・。しかし、生まれ変わった千波ちゃんには前世で抱いたイメージはなく、負けん気と恋心強くて、他者に妥協せずと結構飛鳥や葵と似てるよな。2022/03/10
Yu。
28
そばにいるわけではないのに常に近くにいるという影の存在でありながらストーリー全体の軸である “千波” の謎のすべてが解き明かされるシリーズ最終章。。長きに渡り時代を跨ぐ辛く切ない運命の交錯劇もようやく実を結ぶフィナーレを迎えたというのに 「やっとだね、ホントおめでとう‥」 等の言葉がスッと浮かばなかったのは『雪の断章』の読後感と同じような気持ちになったので、というのが正直なところ。。2017/02/02
mirukan
13
館三部作完結。輪廻転生した千波の物語。それより吹原家の闇が深すぎて恐ろしかった。★★☆☆☆2017/12/19
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