内容説明
ペロポネソス諸国との戦争をきっかけに、アテナイは衰微の暗雲に覆われつつあった。そんななか、奇妙な事件が連続して発生する。若き貴族が衆人環視下で不可解な死を遂げ、アクロポリスではばらばらに引きちぎられた異邦の青年の惨殺死体が発見されたのだ。すべては謎の“ピュタゴラス教団”の仕業なのか?哲人ソクラテスが、比類なき論理で異形の謎に挑む!野心溢れる本格推理。
著者等紹介
柳広司[ヤナギコウジ]
1967年生まれ。2001年、『黄金の灰』を刊行しデビュー。同年、『贋作「坊っちゃん」殺人事件』で第12回朝日新人文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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財布にジャック
63
予想外に読み応えのある推理小説でした。主役がソクラテスって言うのが斬新ですが、ギリシャ神話やアテナイに興味がないと、注釈が沢山付いていて親切ではありましたが、それでも読むのが大変かもしれません。そして、怪しすぎるホムンクルスの復活やピュタゴラス教団には完全に騙されました。謎解きをされても、なんだか割り切れない残念な気持ちになりましたが、これも古代だったり、宗教絡みだったりと馴染みがないせいなのだろうと思います。2012/09/09
みっちゃん
15
「薔薇の名前」のような道具立て。ちょっとややこしかった。2016/01/06
たみ
15
ソクラテスが探偵役でクリトンが記述役、の文書がこっそり翻訳されたという設定。アガトンやアリストパス等と一緒に宴を楽しんだ翌日、不可解な死体が発見されて…のミステリー。けっこう猟奇的で怖かった。本筋とは関係ないんだけれど、財布やポケットがなくて小銭を口に含んで持ち運ぶのが当たり前の時代だったそうで、読んでいて口の中がウヘエとなりました(アルミホイルを噛んだ時みたいな感じをイメージしてしまった)2015/10/02
CCC
9
舞台装置とキャラクターが完璧すぎた。パロディ好きの血が沸き立ちすぎて沸騰した。素晴らしい。俺得。2015/09/06
RIN
9
ソクラテスを知らなくてもいい。その時代を知らなくても、読みながら自分が同じ時を生きているような不思議な感覚に絡めとられる。何なんだろう?