内容説明
1873年、オスマン・トルコの辺境、ヒッサルリクの丘。シュリーマンは、伝説の都市トロイアがこの地に実在したことを証明する、莫大な黄金を発見した。しかし、それをきっかけに、シュリーマン夫妻の周囲で不可解な事件が続発する―。混沌と緊迫の世界で繰り広げられる推理合戦の果てに、シュリーマンがくみ取った驚愕の論理とは?鬼才のデビューを飾った傑作本格ミステリ。
著者等紹介
柳広司[ヤナギコウジ]
1967年生まれ。2001年、『黄金の灰』を刊行しデビュー。同年、『贋作「坊っちゃん」殺人事件』で第12回朝日新人文学賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ehirano1
88
歴史上の人物が殺人事件に携わるというアイデアは他にもありそうですが、ここまで有名どころを出してくるとは恐れ入りました。素材(シュリーマン)をどの様に弄繰り回すのだろうかとワクワクしながら読み進めましたが、創造の斜め上でした。しかし、本作は実はホントかもしれないなぁ(ネタバレのため不記載)、と思いたくもなったりしました・・・・・んなぁことぁないでしょうけどね。2017/07/09
財布にジャック
65
ジョーカーゲームから柳さんのファンになった為ちょっと遅すぎた感もありますが、柳さんのデビュー作を、やっと読むことが出来ました。主人公が古代遺跡の発掘家で有名なシュリーマンで、叙事詩「イリアス」をベースにしたワクワクするミステリーで、柳さんの原点がここにあり、その延長戦上にあのジョーカーゲームがあるんだと思い本当に感激しました。柳さんの壮大な世界感は他の誰にも真似出来ないスペシャルなミステリーなんですね!これからも柳さんには注目していきたいです。2011/04/21
セウテス
51
作者デビュー作品。本来の作者らしい歴史上の人物や小説を基にして、作り上げるミステリーです。シュリーマンは幼小期に読んだ本に書かれていたトロイが実際に存在すると信じ、貧しさや不運を乗り越え商売で大成功して巨万の富を得て、遂に発掘に乗りだし遺跡を発見した事が素晴らしい人間性なのです。然るに作中の彼は、創作とは言え余りにも実在の人物像と掛け離れ過ぎており、読むのが少し辛いです。トリックは古典を模していますが、プロットに無理が無く懐かしく思えて楽しめます。ラストに大きな謎が残るのも、ロマンありで良しだと思います。2015/05/07
tetsu
29
★2 ジョーカーゲームの作者のデビュー作ということで期待したが、波長が合わずいまいちという印象。 実在した主人公のハインリッヒ・シュリーマンやキリスト教の知識などがあればもう少し面白かったかも。2017/06/15
金吾
20
柳さんのデビュー作らしいです。シュリーマンのイメージの違いや序盤の入りづらさはありましたが、中盤からは面白かったです。2024/08/26




