内容説明
周囲が新しい門出に沸く春、思いがけず家業のクリーニング店を継ぐことになった大学卒業間近の新井和也。不慣れな集荷作業で預かった衣類から、数々の謎が生まれていく。同じ商店街の喫茶店・ロッキーで働く沢田直之、アイロン職人・シゲさんなど周囲の人に助けられながら失敗を重ねつつ成長していく和也。商店街の四季と共に、人々の温かさを爽やかに描く、青春ミステリの決定版。
著者等紹介
坂木司[サカキツカサ]
1969年東京生まれ。2002年覆面作家として『青空の卵』を刊行し衝撃のデビューをかざる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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ミカママ
349
作者が用意してくれた柔らかい布団に包まれながら、一気に読了できた気分。悪人がひとりも出てこないし、みんな自分に与えられたお仕事を、誠意を持って勤めてる。ミステリーの謎解きが、少々作り込まれた感あったけれど。坂木さんはやっぱり男性なのかな〜って読み終えました♪2017/11/19
hiro
345
『和菓子のアン』に続いて坂木作品2作目。主人公のアンがデパ地下の和菓子屋で働くお仕事小説と日常ミステリーの『和菓子のアン』に対して、主人公の和也が父の急死で家業のアライクリーニング店を手伝うお仕事小説と日常ミステリーが『切れない糸』だ。『切れない糸』は『和菓子のアン』よりも5年前の作品だが、作品の構成は兄妹のようによく似ており、『和菓子のアン』が成功したのは『切れない糸』という作品が先にあったからかもしれない。そして、このアライクリーニング店では、アンのお母さんが働いていて、作品同士のリンクも楽しい。2012/04/20
ダイ@2019.11.2~一時休止
324
連作短編集。クリーニング店の安楽椅子探偵モノっぽい感じ。人間関係がメインにあって温かい感じになれてイイ。解説にはシリーズ化期待とあるけど続編は出ないのかな?2015/03/12
SJW
254
周りの同級生が就職を決めていく中で、突然、実家のクリーニング店を継ぐことになった卒業間近の新井和也。慣れない仕事に四苦八苦して、預かった衣類などから謎が出てくるが、同級生で近くの喫茶店で働く沢田直之とアイロン職人のシゲさんたちに助けられながら、成長していくお仕事小説だが、日常ミステリーも面白い。謎が解けるごとに仲間が増えていくのは引きこもり探偵シリーズを思い出させる。仕事に喜びを見出だし真剣に取り組む姿はとても気持ちが良い。「和菓子のアン」のアンの母親がクリーニング店のパートとして登場している。2018/09/21
文庫フリーク@灯れ松明の火
190
坂木司さん7冊目。生粋の生物委員・新井と根無し草の傍観者・沢田。さてはて私は根付いているのだろうか。還る場所・人が居てくれるからこそ、たまには糸の切れた凧になりたいと思ったり。どんな仕事もそうだろうけれど、クリーニングの世界も深いのですね。やはり職人のシゲさんに惹かれます。『トランプマン』『世界の料理ショー』と年齢的なツボも。懐かしの映画タイトルもずらり。しかし、恥ずかしながら《考えるな。感じろ》が何の映画か分かりません。有名な映画なのでしょうね(汗)2010/11/20