内容説明
自称ひきこもりの友人、鳥井真一が風邪で寝こんでいたある日、僕、坂木司は同僚から、同期の女性の様子がおかしいと相談を受ける。慣れない探偵役をつとめた僕が導き出した解答は…。また、木村栄三郎さんのもとで出会った男性と地下鉄の駅で見掛けた少年の悩み、そして僕自身に降りかかる悪意の連続、それらの真実を鳥井はどう解明するのか。ひきこもり探偵シリーズ第二弾。
著者等紹介
坂木司[サカキツカサ]
1969年東京生まれ。2002年覆面作家として『青空の卵』を刊行し衝撃のデビューをかざる。以後『仔羊の巣』『動物園の鳥』を上辞し、鳥井と坂木が活躍する“ひきこもり探偵三部作”を完結させる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
401
有栖川有栖氏の解説を読んで、あっと思ったのは、鳥井真一という名前。すっかり忘れていたが、『遠きに目ありて』の探偵役の少年が「岩井信一」だったとは。作者があやかって命名したのは、おそらく間違いないだろう。ハンディキャップのある探偵の、新しいパターンを目指してのことなのだろう、と。鳥井にはまた知り合いが増え、人として成長をしたラスト。不可解な行動の意味を徹底して追求する作風は2巻目も好調だ。3冊目も読もう。2018/02/13
ダイ@2019.11.2~一時休止
300
ひきこもり探偵その2。連作短編集。銀河鉄道を待ちながらが一番良かった。カキの中のサンタクロースはカキがメインだと深読みしすぎてしまった。2015/03/03
SJW
268
ひきこもり探偵「鳥井真一」シリーズ第2作目。今回は3つの連作短編から構成されている。お仕事関連のエピソードは1つ目の外資系生命保険会社と2つ目の東京メトロ(当時は営団地下鉄)の仕事。地下鉄の仕事については謝辞を述べているが、生保の仕事については述べていない。かなり詳しく正確に書かれているので坂木さんは外資生保の出身なんだろう。どの話も迷える仔羊がエピソードを提供し、鳥井が解決していく。どの仔羊も性格にやや難ありだが、根は心優しく徐々に鳥井や坂木(作品の中での鳥井の相棒)の仲間になっていく。家族では(続)2018/04/12
エンブレムT
261
境界線はどこだろう?境界線は誰が引く?・・・ただの同僚と友達の。大切な友情と恋情の。子供と大人の境界線は?善と悪との境界線は?敵と味方の境界線は?許されるのはどこまでなんだ?許されないのはどこまでなんだ?必要だから線を引く。便宜上に線を引く。目には決して見えないけれど、心に引かれる境界線。誰かの幸せ祈るときには、そんな線などないけれど。・・・描かれているのは、日常の謎。解きほぐされるのは、絡まってしまった誰かの心。サラリと読めるシリーズだけれど、本を閉じた後にいろいろなことを考えてしまう1冊でした。2013/06/09
masa@レビューお休み中
216
坂木司さんの物語は好きなのに、このひきこもり探偵シリーズは苦手なんですよね。登場する人物たちがエラく捻れていて痛い人たちばかりなのです。でも、この物語が面白いのは、痛さがあるからなのでしょうね。ひきこもり探偵と言われている鳥井真一は、推理能力はずば抜けているが、人としては未熟。友人の坂木がいないと生活すら成り立ちません。その危うさの中で起こる事件だからこそ、リアルな感情をもって読むことができるのでしょうね。まだ、シリーズはもう一冊あるようなので、次は楽しみながら手にしようと思います。2015/05/25