出版社内容情報
さる旧家の美人姉妹の恋のさや当ての果てに??強欲な羊?≠ヘこの世に生まれた。圧倒的な筆致で、第七回ミステリーズ!新人賞を受賞した「強欲な羊」を収録。女性ならではの狂気を描いた連作集。
内容説明
美しい姉妹が暮らすとある屋敷にやってきた「わたくし」が見たのは、対照的な性格の二人の間に起きた陰湿で邪悪な事件の数々。年々エスカレートし、ついには妹が姉を殺害してしまうが―。その物語を滔々と語る「わたくし」の驚きの真意とは?圧倒的な筆力で第7回ミステリーズ!新人賞を受賞した「強欲な羊」に始まる“羊”たちの饗宴。企みと悪意に満ちた、五編収録の連作集。
著者等紹介
美輪和音[ミワカズネ]
東京生まれ。青山学院大学卒。大良美波子名義でテレビドラマ「美少女H」や、秋元康原作のホラー映画“着信アリ”シリーズなどの脚本を手がける。2010年「強欲な羊」で第7回ミステリーズ!新人賞を受賞し、小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobby
193
読友さんレビューから妙に気になり手を取った一冊。まずは妖しくゾワゾワな雰囲気を堪能、そして先が気になりページをめくり最後に感じる女性の恐怖。何となく真実っぽいのは見えるんだけど、最後にはアッと言わされる短編5編。その中でもタイトルな『強欲な羊』が一番ゾッとした…『ストックホルムな羊』は読んでる時には訳分からないがトリック知ると笑うしかない。最後の『生贄の羊』で全話リンクするけどちょっと分かりにくい。ズズッ、ズリッ、ダン!って怖すぎる…2015/11/04
hnzwd
146
羊をテーマとした連作イヤミス短編集。表題作の強欲な羊をはじめ、一体誰が『羊』なのかを考えさせつつ、一話ごとに決まるどんでん返しがいい感じに嫌な気分にさせてくれます。最終話の生贄の羊でホラーの色が濃くなりますが、、短編集としての繋がりを感じさせる構成は素敵でした。順番が上手いんだなー。2015/08/10
徒花
142
まあまあ。長編かと思ったら、「羊」という言葉がいずれのタイトルにも入っている短編がいくつか収録されていた。後味が悪い「イヤミス」に分類されるみたいだけど、ミステリーというほど謎があるわけでもなく、どちらかというとサイコサスペンスといったほうが適切かも。でもこういうどんでん返しはどうても一定のパターンがあるので、なんとなくオチが読めてしまうものも多い。基本的に、女性の怖さみたいなものが通底している。雰囲気は悪くないけど、たまに文章に違和感がある。2020/06/07
優希
112
ホラー風味の強いイヤミスでした。羊をキーワードにした歪みと悪意に満ちた響宴が繰り広げられています。展開がうっすらと想像できるのに怖さがあるだけでなく、狂気の世界の中でもがくような感覚にさせられます。耽美だけれど穢れがあるダークな世界観。まんまとやられました。2016/03/02
かりさ
109
羊をモチーフにしたミステリ。いや、イヤミス?いやいや、ホラー?な色合いが彩られた短編集。ぞわそわ鳥肌が泡立つような感覚がたまらなく面白かったです。全部分かって仕舞えばなるほど〜なのですが、そこに至るまでの見事な騙されっぷりがやられた!の爽快感と共にやってくるので大変読み応えがありました。表題作でもある雰囲気たっぷりな「強欲な羊」は時代背景、世界観共に素晴らしくここから羊の館に誘われ出口の見えない恐怖に慄くことになります。見事な展開「ストックホルムの羊」、凄まじき「生贄の羊」もお気に入り。騙され感爽快です。2016/04/29