内容説明
部屋の周囲に陳列された夥しい数のカード。モザイク、アラベスク、非対称なコンポジション、銅版画風、水彩画風、テンペラ画風…彼女はその部屋の中で煙のように消え失せてしまった。―洋館の密室から消え、屍体となって発見されたブリッジ愛好家。彼女の死を巡って仕掛けられた魔術的な企みとは?瞠目の到達点を示すゲーム三部作完結編。少年探偵・牧場智久、戦慄の事件。
著者等紹介
竹本健治[タケモトケンジ]
1954年兵庫県生まれ。東洋大学哲学科中退。77年、雑誌『幻影城』で大作『匣の中の失楽』の連載を開始しデビュー
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感想・レビュー
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緋莢
16
モザイク、アラベスク、非対称なコンポジション、銅版画風、水彩画風、テンペラ画風・・・夥しい数のカードが部屋の周囲に陳列された洋館。その洋館の密室から一人の女性が消え、その後、屍体となって発見された。ブリッジ愛好家であった彼女の死に仕掛けられたものとは・・・2017/03/05
ともちん
7
ラストが驚愕でした!カードゲームも全く分からずゲーム説明は流し読みでしたが何とか読めました!叙述トリックもあたしにはさっぱりでした!笑 でも天野さんのキャラも良く面白かったです!2017/03/15
N.K
3
一箱古本市でなんとなく手にとって積んでいた本。解説を読んで知ったけど、日本四大奇書とも呼ばれる「匣の中の失落」の作者だった。古い小説らしく、静かで淡々とした語り口で場面が進んでいったかと思うと、印象に残る台詞と共に不可思議な事件が起こる。日本ではあまり浸透していないトランプゲームの濃い知識を絡めて、事件以外でも読み応えのある作品になっている。その解説すら伏線に組み込まれており、全体を通して読むとかなり複雑な演出が重なって、面白い。あまり量はないから手軽に読めるわりに内容が充実している一冊だった。2015/10/17
LIAN
3
“人間は人間をどこまで了解できるのか。…凡庸な洞察力しかない私自身にとって、了解とはいったい何だったのだろう。”頁272 深い思考だと思いました。推理小説を書く人は、総じて精神的機微に聡いように思いますが、竹本健治は特にナイーヴな心がきれいに描かれていて、読後考えさせられるところが多いです。2010/09/26
十間
0
7.3/102017/01/07