出版社内容情報
高校二年生の坂崎莉実は、父親との二人暮らし。ある朝、父親の書き置きと共に見知らぬ少女が佇んでいた――。莉実とリミット、二人の少女が送る、謎めいたひと月を愛情溢れる筆致で描く。
内容説明
坂崎莉実は、父親と二人暮らしの17歳。5月のある朝、父親は「彼女を莉実の名前で病院へ入院させてほしい」という書き置きと見知らぬ少女を残し、姿を消してしまった―。やむなくリミットと呼ぶことになった少女は、莉実が遭遇する奇妙な出来事の謎を、話を聞くだけで見事に解いてしまう。莉実とリミット、二人の少女が送る、謎に満ちたひと月。心温まる、愛らしい連作ミステリ。
著者等紹介
松尾由美[マツオユミ]
1960年石川県生まれ。お茶の水女子大学卒業。89年『異次元カフェテラス』を刊行しデビュー。91年「バルーン・タウンの殺人」がハヤカワSFコンテストに入選(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
COSMOS本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
したっぱ店員
49
日常の謎+安楽椅子(というかベッド)探偵ものに、この作者らしい、少し不思議を織り込んである。細かい謎ときの方はともかく、後書きにもあるように大きい要素の方は十分想像がついてしまう。しかし、わかっていながらもラストのシーンにはじんわりと沁みるものがあった。一昔前の少女小説の趣も感じられ、上品で好きな作品。2015/11/15
coco夏ko10角
34
莉実とリミットのやり取りがいい。なんとなくわかってたけど、それでもなおエピローグがとてもよかった。2016/10/24
masa
28
とても良かった!頂いた本。ある朝を境に、彼女の世界は一変する。謎の少女、父の失踪、開かずの部屋…。病気の少女を治すために仕組まれた、計画。ひと月の彼女との触れ合いは、奇妙で、謎めいていて、ある予感を思わせる。想いは言葉にしなくても、何かしらの形を帯び、輪郭を浮かび上がらせて行く。いや、言葉にしないからこそ、なのか。作者の意図した道標を辿りながら、行き着く先の想いが切なく、どうしようもなく愛しい。最後の最期まで、人の想いと愛の強さが光る。これは、単純なミステリじゃない。人の想いを巡るミステリだ。解説も素敵。2017/03/20
あやっぴ
27
知人からお借りした本。父親と2人暮らしの17歳の娘だが、ある日いきなり父親が姿を消してしまう。おまけに書き置きとともに見知らぬ少女を置いて…。残された娘とその少女が日常のミステリーを解決しながら交流を深めていく話?だと思うのだが、私にはちょっと入り込めず。ごめんなさい。2022/06/29
タカギ
26
著者のタイトルのセンスが好き。他にも好きなところはあるけど、最後まで読んで、なるほどそういう意味だったのね、と深く頷けるところが良い。可愛いらしいタイトルだし、装幀もほんわかして児童書?と思わせつつ、心の機微を絡めた連作ミステリで、最後はちょっとうるっときた。リミットが何者かが比較的分かりやすいのは、ハッキリ書かないぶん、わざとなのだと思う。お父さんが帰って来て、父娘でどんな会話をしたか読者が想像する楽しみもある。2022/07/24