出版社内容情報
世界に憧れる有騎、いつも一緒の鮎子と茉歩。三人の女子高生の友情は、問題児の美雲と関わったことで変化していく。四人の間に緊張が高まる中、やがて「悲劇」が……。後日、罪悪感に囚われ思い悩む有騎がたどり着いたのは、天体観測会が行われる廃園の館だった。館の主にまつわる謎を追ううちに知った、彼女たちの身に起きた「悲劇」の驚愕の真相とは。多感な少女たちの心を描く青春ミステリ。解説=福井健太
内容説明
世界に憧れる有騎、いつも一緒の鮎子と茉歩。三人の女子高生の友情は、問題児の美雲と関わったことで変化していく。四人の間に緊張が高まる中、悲劇が…。後日、罪悪感に囚われ思い悩む有騎がたどり着いたのは、天体観測会が行われる廃園の館だった。館の主にまつわる謎を追ううちに知った、彼女たちの身に起きた悲劇の驚愕の真相とは。多感な少女たちの心を描く青春ミステリ。
著者等紹介
友桐夏[トモギリナツ]
1976年滋賀県生まれ。2005年、『白い花の舞い散る時間』でロマン大賞に佳作入選し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
102
多感な女子高生ならではの悲劇の捉え方があるように見えました。3人の女子高生が問題児と関わったことで生まれる変化と悲劇が天体観測に結びつくのは、思い悩んだが故の結論だったように思います。廃園の館と館の謎が悲劇の真相につながっていく流れが、手の届かない眩しい星を撃ち落とす象徴になっているのだと感じずにはいられません。2017/01/22
マーム
101
表面上は仲の良い有騎、鮎子、茉穂の3人にどこか捉えどころのない問題児の美雪が絡むことで日常が変化します。「廃園の館」に住む少女の身に起こったという惨劇は、はたして事実なのか?彼女が話した言葉を書き記したメモをたよりに、少女たちが真実へと迫っていきますが、それが真実かどうかは証拠がないため今一つ判然としません。また、友人の身に起こった事件の遠因になった事柄についても推理を巡らせますが、これも推測の域は出ず、その結論に救いがあるような、ないような・・・。物語はまだ続いていくという余韻が残る終わり方でした。2019/08/20
扉のこちら側
79
2015年1249冊め。単行本で既読。それぞれのバックグラウンドと本心を隠しながら探り合うスリル。コバルトの頃の『リリカル・ミステリ』と呼ばれた作風は健在で、好き嫌い別れるだろうがある意味安心して読める作家。現代ものなのに古風な語り口とか、登場人物が聡明すぎる人なばかりだとかは著者のお約束。表紙は単行本の方が好きだった。2015/12/27
ゆかーん
60
「あの時、こうしていたら…」とか「もし~だったなら…」とか思うことは、日々の生活の中でも沢山あると思います。高校生時代の友達関係の中でも、そういった不信感を募らせてしまったら、卒業するまでなんだかんだと色々と考え続けてしまうのではないでしょうか。この小説はミステリーというよりも、少女たちが試案する考えを披露し、「きっと、…なのだろう」と考察することがメインの物語です。最後まで正解は分からないのですが、逆に分からないからこそ読者の想像力が掻き立てられてゆくのだと思います。こういうミステリーもあるのですね…。2016/01/26
なみ
15
ストーカー被害に遭ったことをきっかけに、高校生の有騎の日常に変化が現れる。 噂や証言により思い描かれていた想像が、推理によって二転三転していく展開が面白かった。 他人にどう思われるかを気にせず、自分自身に誠実でまっすぐな生き方をしている美雲が素敵でした。2021/05/15