出版社内容情報
飛行機事故で亡くなった義兄が遺した音のメッセージ。音の百選を収録したものと思われる、その音源の謎を探るリツ子は、もうひとりの女性の存在に気づく。待望の連作長編。
内容説明
急死してしまった義兄・最上圭一が遺した、「うさぎ」にあてた不思議な“音のメッセージ”。圭一から「うさぎ」と呼ばれて可愛がられていたリツ子は、それが環境庁の選定した日本の音風景百選の一部だと気づくが、どこか不自然さを覚える。謎を抱えながら音源を訪ね歩くうちに、リツ子が発見した奇妙な矛盾とは―。音風景を巡る謎を旅情豊かに描いた連作長編、待望の文庫化。鮎川賞作家最後の贈りもの。
著者等紹介
北森鴻[キタモリコウ]
1961年山口県生まれ。2010年歿。駒澤大学卒業。編集プロダクション勤務を経て、95年『狂乱廿四孝』で第6回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。99年『花の下にて春死なむ』で第52回日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
89
再読です。本当に最後の作品のようですが、実際には8章で終わっていますが北森さんは続けたかったのかもしれません。飛行機事故で亡くなった義理の兄が集めた日本の音100選で行ったところを主人公の女性がたどり、そこでの知り合った人物とのやり取りが書かれています。最後近くとなると何やら義理の兄と関係あった人物が登場して、また義理の兄の死に方も・・・・、ということで謎が解かれていきます。が、若干すっきりとしない感じも受けました。2023/09/29
yu
63
義理の兄が飛行機事故で不慮の死を遂げる。 うさぎと呼ばれていた義妹の美月に残された音源。そこに隠された謎。 そしてもう一人、うさぎと呼ばれていた人物の存在。 切ないお話なのかと思いきや、まさかのラストに驚愕。 改めて、北森さんの凄さを痛感できる作品だった。2014/05/12
hnzwd
48
飛行機事故で亡くなった兄が遺した音百景の謎を追う、、長編は、北森鴻さんが全編執筆した最後の作品。魅力的な謎に、張り巡らされた伏線と、綺麗な回収。そしてなにより全編に流れるもの悲しい雰囲気。堪能しました。2015/03/11
KAZOO
47
ミステリーズ!という雑誌に連載されていたので読んでいましたが、文庫本が出たので読みなおしました。やはりとぎれとぎれに読むよりも一気に読んだほうが楽しめます。北森さんの本当に最後の連作集だそうです。連作ですが、最後まで読むと一つの長編ということになっています。いかにも北森さんらしさがよく出ている作品だと感じました。2014/04/23
RIN
43
連載終了後急逝されて出版された遺作。恐らく単行本化にあたって通常なされるであろう校正や加筆等々がなされなかったため北森さん作品としては完成度にやや難ありだが、それでも北森さんらしい独特のもの哀しさ切なさに胸を締め付けられる良作。「連作長編」という紹介が正鵠を得た表現。哀しいのにしっとり穏やかな読後感に浸れる不思議な作品。2014/12/26
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