内容説明
アルバイト先の助産院を解雇された陽奈は、急場を凌ぐために“ハローベイビー研究所”に就職するが、そこでは価値のないものばかりが消え失せる目的不明の盗難が続き、さらには十八年前を再現したかのような赤ちゃん置き去り騒ぎが起きた。いったい研究所内で何が進行しているのか?「伝説の助産婦」にして安楽椅子探偵・明楽先生の推理が冴える!助産婦探偵シリーズ初長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
19
アルバイト先の助産院から突然リストラされた陽奈は、聡子の紹介で「ハローベイビー研究所」の面接を受けることにしましたが・・。健康に生まれてくればそれだけでいい。そう思っていても手のかからない良い子が生まれたらいいなとつい思ってしまう。人間ってホント贅沢ですよね。この話はそんな考え方に翻弄された家族の物語でした。私には出産経験はありませんが、例え夜泣きがひどく手のかかる赤ちゃんだったとしても、夫婦円満でいられたらいいなと思いました。ラストはこのシリーズに相応しい締めくくり方でした。★★★2011/08/31
やまだん
6
ミステリとして評価すると,トリックらしいトリックはないし,意外性もそれほど高くないので,そこまで高い評価は与えられない。しかし,話作りが見事。ニヤリとしてしまう伏線も貼ってあり,エンターテイメント作品として読むのであれば満足度は高い。見習い助産婦の陽奈などのレギュラーキャラクターを始め,もと天才の奥薗時夫など,登場事物のキャラクターの造形もユーモラスで魅力的。文体も,とても読みやすい。泡坂妻夫の「亜愛一郎シリーズ」に近い魅力がある。標準レベルだが、軽いミステリを読みたい人にオススメできる(60点)。2015/12/20
タカギ(ユ)
5
単なる怪しい団体の怪しい人たちによる怪しい事件では終わらず、子供を持つこと、産むことについて押し付けがましくなく問いかけがなされているところがよかった。こういう題材だとどぎつくなりがちだけれど、さらっとした筆致と、陽菜ちゃんや周囲の人たちの前向きさに救われている。ただ、終盤は明楽先生の語りが少し長く、読んでいて中だるみもあった。このシリーズは、短編でサクサク読みたい。2011/10/28
蕭白
4
長編でしたが、中だるみせず、いい時間が過ごせました。2018/01/15
Shirahata
4
「赤ちゃんを産むっていうことは、どんな赤ちゃんでも産むっていうことだと思うの」 割りと序盤にさらっと書かれている発言で、考えてみれば当たり前であるのだが、どうしてか深く刺さった言葉。 前作から思っていることだが、出てくるキャラクター、特に主人公である陽奈が魅力的。人間らしくて「イイ性格」をしているんですよね……。(良い、ではなくて、イイ)2017/01/08
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- 電子書籍
- 週刊東洋経済 2014年1月25日号 …