出版社内容情報
なぜか心惹かれる「青蛇」と呼ばれる男を巡る、五つの事件の顛末を描いた、芦原すなお渾身の女性私立探偵ミステリ。ふーちゃんこと山浦歩との出会いも描いた、シリーズ最新刊。
内容説明
わたしが「青蛇」と呼ぶ、どこか心惹かれる男との最初の出会い―それは、元教え子の女性が亡くなった事件を調べてほしいという、さえない男性教師からの依頼がきっかけだった。亡き夫が遺した探偵事務所に持ち込まれる、一筋縄ではいかない依頼の数々。『雪のマズルカ』から、さらに切れ味と凄みを増した女私立探偵・笹野里子の活躍。直木賞作家・芦原すなお渾身の連作短編集。
著者等紹介
芦原すなお[アシハラスナオ]
1949年香川県生まれ。早稲田大学文学部卒、同大学院博士課程中退。86年『スサノオ自伝』でデビュー。90年発表の『青春デンデケデケデケ』で第27回文藝賞、第105回直木三十五賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅はこべ
106
本作を読み終えた直後、アニメの『どろろ』を観たので、青蛇くんと百鬼丸がかぶってしまった。天賦の才と魅力に恵まれながら、自分の為に生きられなかった青蛇。里子の青蛇への思いと、樟島の仁平への思いは重なっているように思えた。2019/03/26
papako
63
勢いで。この巻では、それぞれの話が少しづつ絡んで進む連作になっている。表題作はふーちゃんとの出会いが描かれるので、少し過去の話なのかも。そして青蛇という青年が全ての事件と里子さんに絡んでいる。(変ないみでなく)最初の三編はキレの良さが際立っていましたが、ラストの二編では作者の特徴的なバカにしたような、茶化すような会話が増えてきて、作者、たまらなくなった?それでも事件の落とし方など、やっぱりいい感じ。ぜひ、続編を希望します。ふーちゃんの作品は様子見ですね。2017/02/16
はつばあば
55
女性が格闘技を学んで私立探偵なんて最高に私のお気に入り。蛇は身の毛がよだつほど嫌いだが、登場の青蛇が里子を助けた辺りから、青蛇と絡んでのシリーズが出ないかと芦原さんに切望したかった。「雪のマズルカ」がまだ手に入らないのでこちらを先読みしたが、「男は強い。女は庇護するもの。」との概念を芦原さんの年代で打ち破るのは大変だったろうと思うが「ミミズクとオリーブ」シリーズでも「奥さん」に頼る男どもがなんとも可愛い。青蛇も良かった。今年文庫になったのだから芦原さん、まだ書けます。このシリーズもう少し続けて下さいな。2015/05/10
すい
55
私立探偵笹野里子シリーズ第2弾。ハードボイルドはこれまでにあまり読んでこなかったジャンルだけれど、面白かった。悪者はとことん悪く、正義は必ず勝つという従来のミステリとは幾分違う設定にも全然拒否反応が出なかったのは、悪の筈の青蛇の魅力に他ならない。最後は里子と一緒に「もうやめて」と必死で青蛇を止めたいと思ったほどだ。所々に入る遠藤警部やジェイソンとの会話で肩の力が抜けるのも良い。これはオススメ!2015/05/04
ゆきちん
53
「雪のマズルカ」続編。連作短編5つ。女性探偵笹野里子のハードボイルド。読み手が慣れたのかマイルドになり、ユーモア度がアップ。面白く読みやすさが増した。持ち込まれる事件の影に青い蛇のタトゥーのイケメン。これが今回の横串。ゆる〜い同業のふーちゃん、恋する遠藤警部、そしてクールな探偵里子、それぞれのセリフ回しが絶妙でエゲツないことやってても面白いです。続編出たら読みたいです。2017/03/29