内容説明
江戸川乱歩の「一人の芭蕉の問題」を読んで感動した著者が、「文学精神と謎の面白さの全き合一を求めよう」と、推理小説の創作に取り組みだした最初期の二長編。山間の寒村を舞台に、不可能犯罪と鮮烈なトリックが印象的なデビュー作『天狗の面』と、第二長編でアリバイ破りの傑作『天国は遠すぎる』。本格ファン必読の一冊である。
著者等紹介
土屋隆夫[ツチヤタカオ]
1917年1月25日長野県生まれ。中央大学法学部卒。49年、「宝石」の百万円懸賞コンクールに「『罪ふかき死』の構図」が一等入選。58年の『天狗の面』以降長編を発表し続け、現在に至る。『影の告発』で日本推理作家協会賞を受賞
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感想・レビュー
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awasaka_mystery
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土屋隆夫デビュー長編の「天狗の面」これぞ推理小説的な感じだが、ちと古いか?それに比して「天国は遠すぎる」は自殺と思われて少女の死を追い、完璧なアリバイを小さなほころびから解決へと導く刑事のの執念。 土屋隆夫の作は犯人への思い入れを感じることが多いが今作も同じかな2016/08/01
ひらり庵
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第1長編は本格推理、第2長編は社会派推理。どちらも昭和の香り高い推理小説だ。近年の本格ミステリーと異なり、犯人の動機をしっかりと設定している。そのため、お話が絵空事になっていない。2015/09/25
よっちゃん
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ミステリーの舞台として、孤立した村落共同体と権力者、迷信、因習へのこだわり、怪しげな宗教、漆黒の夜とかがりび、祭祀の異様な興奮、連続殺人事件、精神異常者、探偵とが登場すれば「おどろおどろしい」「血も凍る」「陰惨猟奇」、あの横溝正史の世界です。「天狗の面」はまったく同じ素材を使いながら、まったく異質の新鮮な本格推理小説に昇華させている。 何が違うのか。作者が、都市文化から隔離された村落共同体の中で営まれている人々の生活を知悉しているため、その生活の実感を捉えた小説になっているところにある、。 2003/03/31
いちはじめ
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横溝正史風な土屋隆夫にしては異色の処女長篇「天狗の面」と、その反動のように社会派ミステリ的な装いの「天国は遠すぎる」のカップリング。どちらもしっかりとした本格ミステリ。2001/03/20
miu_pal
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『天狗の面』(2021/07/22)。『天国は遠すぎる』(2021/07/27)。2021/07/23