内容説明
東洋の寂れたバーの片隅で、過去幾たりもの歴史学者を悩ませてきた謎がいともあっさり解明されてしまうとは。在野の研究家以上には見えない宮田六郎が、本職の静香を向こうに廻して一歩も引かないどころか、相手から得たばかりのデータを基に連夜の歴史バトルで勝利を収めていく。宮田の説に耳を傾けながら、歴史に興味を持ち始めた若い頃のようにワクワクするジョゼフであった。
著者等紹介
鯨統一郎[クジラトウイチロウ]
1998年、『邪馬台国はどこですか?』でデビュー
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
140
鮮烈なデビュー作『邪馬台国はどこですか?』の続編。鯨作品の最大たる特徴は作品全体に蘊蓄が満ちていることだ。今回モチーフとなっている世界史は無論のこと、広範なジャンルの雑学に亘っている。そして酒好き、料理好き、いやバー好きの鯨作品では定番であるお酒に纏わる蘊蓄も施されている。本書の中での個人的ベストは「ストーンヘンジの不思議」だ。この一編で繰り広げられる新説の数々(こじつけ?)には思わず真実ではないかと信じそうになった。しかしお酒と料理を堪能しながら、世界の不思議が解かれるとは何とも贅沢な酒の肴ではないか。2025/04/16
ehirano1
125
初版は1998年ですが、2020年の今だとYouTubeで誰かがやってそうです。とは言っても、こういうのは知的好奇心を刺激するのでなかなか面白いです。こじつけ、後付け、分析ミス等の批判はあるかもしれませんが清濁併せ吞むとかなり楽しめると思いました。2020/11/03
とん大西
113
少し目先を変えてお気楽な歴史謎解き。場末のバーで夜毎繰り返される侃々諤々。お題はピラミッドやらノアの方舟やら有史以前の世界七不思議。無責任な妄想にトンデモな発想。それでも案外当たらずとも遠からず的に歴史好きのロマンをくすぐってくれる。「ストーンへンジは何故あんな形をしているか」-アノ構造物との奇妙な共通点には素直にナルホドと思てしもたょ。まぁ、こじつけ感たっぷりですが(^o^;)2020/08/29
セウテス
95
早乙女静香シリーズ第2弾。デビュー作品のとんでも歴史ミステリから7年、勝手にシリーズにしました。今回は、ジョセフというペンシルベニアの大学教授が語り手となる。日本に旅行に来た教授は、静香に誘われ薄汚れてパッとしないバーに来る。しかしバーテン松永の作るカクテルと料理、常連客の宮田と静香の歴史検証バトルは、東洋の片隅に在るうらぶれたバーとは思えない驚きだった。世界の七不思議をあーだこーだと推理するのだが、ちょっと視点を変えるだけで見え方も違うのだと納得。正解かどうかより、こんな意見の交換で盛り上がるのが良い。2019/06/08
ALATA
93
繁華街の外れにある裏寂れたバーで夜な夜な語られる歴史談義。今宵もミス静香とライター宮田の歴史検証バトルが火花を散らす。「ストーンヘンジの不思議」「ピラミッドの不思議」「始皇帝の不思議」と‘こじつけ,にも程がある無邪気さが面白い🤣。正論から学ぶべきことも多くて読み応えがありました。★4※鳥居、盛り塩、桃太郎そして奈良の大仏。世界とつながる想像力は賞賛に値する。2021/11/13