出版社内容情報
私の誇りを傷つけるなど、万死に値する愚挙である。絶対に許してはいけない。学内で“皇帝”と称される稲見主任教授は、来年に副学長選挙を控え、恐喝者の排除を決意し実行に移す。犯行計画は完璧なはずだった。そう確信していた。あの男が現れるまでは。全四編を収録した、著者初の倒叙ミステリ・シリーズ、待望の文庫化。〈刑事コロンボ〉〈古畑任三郎〉の衣鉢を継ぐ警察官が、またひとり誕生する。
内容説明
私の誇りを傷つけるなど、万死に値する愚挙である。絶対に許してはいけない。学内で“皇帝”と称される稲見主任教授は、来年に副学長選挙を控え、恐喝者の排除を決意し実行に移す。犯行計画は完璧なはずだった。そう確信していた。あの男が現れるまでは。―倉知淳初の倒叙ミステリ・シリーズ、全四編を収録。“刑事コロンボ”の衣鉢を継ぐ警察官探偵が、またひとり誕生する。
著者等紹介
倉知淳[クラチジュン]
1962年静岡県生まれ。日本大学芸術学部演劇学科卒業。93年、『競作 五十円玉二十枚の謎』への投稿を経て翌94年、『日曜の夜は出たくない』で本格的な作家デビューを飾る。以後、ユーモラスで親しみやすい作風ながら、ミステリとしての完成度にも妥協しない、高いクオリティの作品群を書き続けている。2001年、『壺中の天国』で第1回本格ミステリ大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちーたん
87
★★★★☆【創作独白レビュー】第一印象?まるで死神のような男だ……鈴木?彼はハンサムだが容姿以外印象に残っておらん……敗因だと?誰に口を聞いておる?!私は皇帝と称された男だぞ!私の計画は完璧だったのだ。たった1つたまたま誤算が生じたまでの事。顔に似合わん名をしたあの乙姫という死神面の警部。あの男が現れなければ完全犯罪は成立していた。敗因など皇帝の辞書にない。(了)◆表題作含む4話の本格倒叙ミステリ!☝では、おふざけしてますがとっても上質の作品です!〈刑事コロンボ〉が好きな方は一読の価値あり✨堪能しました!2020/01/24
オーウェン
72
名前は乙姫警部なのに相性は死神と呼ばれる中年の男。 そんな死神が犯人の立てた計画を暴いていく倒叙ミステリの4編。どんな小さなことも徹底的に追い詰めて証拠を集める。 その執念に犯人はボロを出したり、自身のミスを知ることになる。 4編どれもレベルが高いが、表題作でもある「皇帝と拳銃と」が出色。 皇帝と称される大学教授に死神が挑む構図。 ラストに皇帝のまま威厳を失わせない乙姫警部の逮捕は気品あふれる仕上がりとなっている。 このキャラだけでも完成されているので、続編がぜひ見たい。2022/05/01
森オサム
57
乙姫警部シリーズ一作目。倒叙ミステリー短編集ですが、各篇ともそれなりに面白く読めました。絶賛とは言えないのは、刑事コンビの魅力が乏しいからでしょうか。二人とも見た目の特徴は繰り返し説明されるのですが、キャラが立っている様でそうでも無い。著者ならもう少し軽妙な筆致でも書けたとは思いますが、古畑任三郎は越えられないと思ったのかな?、真面目。事件解決の手掛かりが犯人の不用意な言動よりも、科学捜査にあるのが現代的でしたね。倒叙ものは心理戦、探偵にも、更には犯人にも魅力が必要だと思う。次作はもっとそこに期待したい。2022/10/10
tonpie
55
所謂「倒叙ミステリー」の短編が4つ入っています。犯人が殺人を行うシーンから始まり、おっとり刀で駆け付けた警察の捜査から解決までが描かれます。そう、覚えてますか?「刑事コロンボ」「古畑任三郎」ですね。あのテレビドラマで一番の見どころは何だったでしょうか?(犯人から見たら)イヤらしい担当刑事にネチネチと質問されて冷や汗を流し、ようやく帰りかけてホッとしたら、「ウチのカミさんがですね」とか言いながら引き返してきて、心臓(本質)を突くような質問を投げかけられる。2023/01/01
三代目けんこと
50
倒叙ミステリで、刑事コロンボ好きには堪らない一冊。これからも乙姫警部に期待したい。2020/02/24