出版社内容情報
ある朝、いつものように登校すると、机のうえには分解されたたて笛が。しかも、一部品だけ持ち去られている。……これで四件目、今度の被害者はどうやら僕らしい。図画工作で写生した絵、飼育小屋のニワトリ、招き猫の形をした募金箱――いま五年三組では、“なくなっても誰も困らないもの”が続けざまに消え失せているのだ。いったい誰が、何の目的で? 田舎の小学校を舞台に、謎解きの興趣が隈なく凝らされた正統派本格ミステリ。
内容説明
ある朝いつものように登校すると、僕の机の上には分解されたたて笛が。しかも、一部品だけ持ち去られている。―いま五年三組で連続して起きている消失事件。不可解なことに“なくなっても誰も困らないもの”ばかりが狙われているのだ。四番目の被害者(?)となった僕は、真相を探るべく龍之介くんと二人で調査を始める。小学校を舞台に、謎解きの愉しさに満ちた正統派本格推理。
著者等紹介
倉知淳[クラチジュン]
1962年静岡県生まれ。日本大学芸術学部演劇学科卒業。93年、『競作 五十円玉二十枚の謎』への投稿を経て翌94年、『日曜の夜は出たくない』で本格的な作家デビューを飾る。2001年、『壼中の天国』で第1回本格ミステリ大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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papako
86
楽しかった〜。疲れた身体にはちょうどよい。小学校の教室から次々と不用品がなくなった。その謎に挑戦する高時くんと龍之介くん。あやしい先生、お腹を裂かれたニワトリ!散りばめられる伏線。さてさて犯人は?ジュブナイルだけど、謎解きもしっかりしていて、二転三転するラスト。短いけれど、楽しめました。龍之介くんの叔父さんはあの人?アンソロジーのだと思ってたら、ぜんぜん違った。ミステリーランドだったんですね。2017/07/01
hnzwd
67
倉知淳が子供向けレーベルであるミステリーランドに書き下ろした一作。小学五年生四人組がクラスで起きた無価値なもの連続盗難事件の謎を追うというストーリー。正統派のジュブナイルでありながら、きっちりどんでん返し決めるのは流石。主人公達みたいなミステリ好きの子供にも、ミステリを読んだことのない子供にも勧められる一作かと。2017/07/18
オーウェン
61
小学生用に仮名が降られているミステリーランド作品。 倉知さんは江戸川乱歩に憧れていたので、探偵隊という小学5年生が挑む日常の謎。教室で盗まれた縦笛の真ん中と、図工の絵。そして募金用に置いた招き猫と、飼育小屋の鶏が連続して盗まれる事件。それを解くため高時は親友と共に探偵隊を結成する。子供用なので単純かと思いきや、解決になるとどんでん返しが炸裂する。事件がとんでもない方向に進むかと思ったら、クラス内で解決する規模のものだったり。探偵役の龍之介があまりにもカンが良すぎるのだが、こういう子供って必ずいるよね(笑)2022/01/31
瑞佳
52
少年少女向けのミステリーランドとはいえ、このシリーズは侮れない。ヘンテコな謎にユルめのユーモア、そして学校あるあるなエピソードなど、そのどれもが甘酸っぱくてニコニコしながら読み進めていく。やがて小利口な探偵くんによって大人が舌を巻くようなロジカルな推理が展開したと思ったら、そこから二転三転と、謎が解体され再構築されていく。その様子は、わたしたち大人の読者もどんどん子どもに帰っていくようで、なんとも言えず微笑ましくほっこりした気持ちに。ジュブナイルらしくお見事な着地でございます。2017/08/28
ばう
51
★★★小学校で起きた連続消失事件。しかもそれは無くても困らない物ばかり。その謎を解くために五年三組の4人が乗り出すが…。子供向け?と思って読み始めましたがいやいや、予想に反して正統派本格推理小説でした。勿論小学生の話だから真相は子供らしいもので安心して読めますが、探偵役の龍之介くんが数々の目撃証言からきちんと真実を突き止めるところは理路整然としていて中々のものです。何よりも『解決編』がどんでん返しに次ぐどんでん返しで最後までびっくりされ続けました。ところで龍之介くん憧れの叔父さんってやはりあの人ですよね?2018/02/07