出版社内容情報
この本は、とても脆くて、限りなく澄んだ、
『ミステリ』という名の宝石です。北山猛邦
“孤島”に住まうオルゴール職人たちを襲う、連続不可能殺人。
『少年検閲官』に連なる著者最大にして、最高の傑作。
検閲官に追われる少女と出会ったクリスは、再会した少年検閲官エノと共に、少女が追われる原因である〈小道具〉を探し求めて孤島の洋館に向かう。そこで待ち受けていたのは、洋館に住むオルゴール職人たちを襲う連続不可能殺人だった! 先に到着していたもう一人の少年検閲官の支配下に置かれた場所で、三人は犯人を突き止めるべく、トリックの解明に挑む。〈少年検閲官〉シリーズ第二弾にして著者最大の力作、待望の文庫化!
内容説明
『焚書法』によりあらゆる書物が禁止された時代に、『ミステリ』作家を目指す少年・クリス。海上に建つ洋館を訪れた彼は、そこに住まうオルゴール職人たちを襲う連続不可能殺人に巻き込まれ、検閲官に追われる少女と、再会した少年検閲官・エノと共に事件の解明に挑む。幾重にも重なるトリックの果てに、三人を待つのは―。『少年検閲官』に連なる著者の最高傑作が待望の文庫化。
著者等紹介
北山猛邦[キタヤマタケクニ]
1979年生まれ。2002年、『「クロック城」殺人事件』で第24回メフィスト賞を受賞してデビューする。物理トリックに定評がある一方、幻想的な独自の世界観でも読者を魅了し続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mihya
49
少年検閲官シリーズ2冊目。前回同様、本が禁じられた退廃的で幻想的な世界。前作からの続きなので軽い気持ちで読み始めたら500ページ超のボリュームだった。 ページ数に見合った冒険があり、心理描写がある。多重解決とも思える各々の推理、北山さんの代名詞でもある物理トリック、意外な犯人…と前作よりも大いに楽しんだ。最後は呆然…。面白かった。次に繋がりそうなラストだし、少年検閲官の謎も残されているし、続きが読みたい。2024/02/08
おうつき
27
少年検閲官の続編。序章の切ないオルゴール職人の物語(若干島田荘司感がある)で世界観に惹き込まれ、連続する不可能犯罪に圧倒された。前作では正直あまりピンときていなかった検閲官の設定も魅力的に感じられた。 ちょっと前に読んだ「月灯館」と同じく盛りだくさんの物理トリックもお腹いっぱい楽しむ事ができて満足。出るのかは分からないけど3作目があるのならば絶対に読みたい。2022/08/09
りこ
19
『少年検閲官』で語られた事件から3ヶ月。クリスは検閲官に追われるモノクロの少女と出会い新たな事件に巻き込まれていく。夜の闇のように濃密で水底の硝子のように繊細な文体で構築された美しくも儚い世界のミステリ。けれど真相に辿り着くまではこんなにも切ない物語だとは想像すらしていなかった。ラストの余韻はあまりにも忘れがたいもので、この書物が今、手の中にある意味に思いを馳せたくなる。いつか少年ではなくなったエノはどう生きるのだろう、そのときクリスはどこにいるのだろう? 彼らの旅の行く末を見たいと願わずにはいられない。2022/04/28
マッちゃま
18
シリーズ第2弾。できれば刊行順にお楽しみ下さい。旅を続けるクリスは、検閲官に追われている少女と出会う。その少女が住んでいた洋館は外界と孤立した場所に在り、屋敷の主人と複数人のオルゴール職人が住んでいる。クリスらが洋館に訪れてから次々と職人が不可能状況で殺されていく。どうやって?誰が?何の為に?登場人物表も見ながら推理する(只の当てずっぽうだろ⁉︎)いくつかの伏線もミステリを無駄に読んでる者からしたら「ああ〜ヨメたぞ♪」なんて思っていたら綺麗にラストでひっくり返されていく。いや実に素晴らしいミステリでした。2022/07/24
ほたる
16
物理トリック一本ど直球勝負。飛び道具を使わず地に足ついたミステリをこの時期に文庫化したことに意味があるのかもしれない。世界観を利用したトリックの仕掛け方が上手い。そしてこの世界で生きる者たちの物語の紡ぎ方も良かった。ここで終わらすにはもったいないな。2022/05/01