内容説明
革命前夜のパリで起こった、ある新聞記者の射殺事件。現場を目撃したシャルルは、犯人の正体の解明を、名探偵デュパンに依頼した。手がかりを持つ人物が次々と殺され、様々な思惑と共に肥大していく事件。翻弄されるシャルルは、自分も事件に呑まれて殺人を犯したのではないかと不安を抱くが…。二月革命前後、爛熟の都に蠢く群像を壮大に描く、巨匠ポオへの熱いオマージュ。
著者等紹介
笠井潔[カサイキヨシ]
1948年東京生まれ。79年デビュー作『バイバイ、エンジェル』で角川小説賞受賞。98年『本格ミステリの現在』編纂で日本推理作家協会賞受賞。2003年小説『オイディプス症候群』と評論『探偵小説論序説』で本格ミステリ大賞二部門同時受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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セウテス
77
【オーギュストデュパン オマージュ作品】下巻。純粋に連続殺人の謎を推理する物語ではなく、空中から毒が突然現れた様に見える謎も、推理する事は難しいと思う。謎を解く楽しみを読者に提供するミステリではなく、作家ポー氏の影響を論じている様にも感じる。私の認識ではポー氏はミステリの創始者であるという事だが、ドストエフスキー氏から芥川龍之介氏など名高い文学者に、多大なる影響を与えた人物とは知らなかった。本作のひとつの殺人の根底に群衆論や、探偵が生まれた考え方にモダニズムが在る事が、良く解るの作品ではあるのだが疲れる。2020/10/26
春風
15
【再読】世界初の探偵小説の主人公、C・オーギュスト・デュパンが、第4の事件に挑む、壮大なるポオ作品群のパスティーシュ作品。デュパンは、連続する事件群に共通するモチーフから、個々の事件を紐付け、事件解決に挑んでいく。それは犯人さえも自覚していないであるだろうという、19世紀のフランス革命前夜のパリにおいては、未来を占うかのような、個人の対群衆における相対的な存在形態を問うモチーフでもあった。個人的には、実在の人物たちをも巻き込む壮大なフィクションである本作は、ミステリ小説における最高傑作と思える作品。2019/11/18
ホームズ
9
慣れて来たからかだいぶ読みやすくなってきた(笑)なんというか革命の時代のフランスの雰囲気がいい感じでした(笑)エネルギーにあふれている感じが良かった(笑)ミステリといしても良かったと思います(笑)中空から現れた毒の謎は面白かった(笑)2011/05/13
メーテル/草津仁秋斗
0
犯人までは予想がついたけど、動機はギリギリまで分からなかった。歴史上の事件も絡めた、まさに歴史ミステリー。シャルルはきっと誰かなんだろうなあと思っていたけど、正体を知って狂喜しました。満足のいく一冊。2016/05/26
Takashi Tokairin
0
架空、実在を交えて次々とこの業界の有名人が登場。まあしかしややこしい。歴史をよく説明してもらわなければ動機すら理解できません。。。2010/11/01
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