感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
47
文庫にて再読(去年の個人的2位)。夢想も理想も何もかも密室に閉じ込めてーーラルース家殺人事件、真の完結。「密室殺人」というミステリ好きの魅力をくすぐる題材を大量死と絡めて論じる。真相を覚えてる再読でも覚えていても、心を過去に殺されたもの、ストーリー、密室、哲学すべてに圧巻。この本を読んだものは、密室と「英雄」に何を見る?再読でもこう思う。密室は閉ざされ、死が残る。密室は開かれ、愛が残った。2025/08/15
ALATA
44
本棚本再読。孤高の探偵、カケルとワトスン役のナディア・モガールがハイデガーの哲学思想に絡めて謎解きへ奔走する。1974年、パリで起きたダッソー家事件と1945年、ナチス収容所で起きた殺人事件。「How done it?」の極致といえる二件の密室殺人が三重構造になっていて脳が揺さぶられる。長くて読みにくいが30年の時を超え物理的手法によって謎が解き明かされる様はカタルシスを感じた★5※分厚い作品で、難しい哲学論争はあまり頭に入らず、でも読みたい…この感覚は京極堂シリーズに通ずるものがある(>_<)2022/04/07
勇波
44
圧倒的な読後感を残してやっと読了。難解な哲学部分は意外にも興味を持って理解できたような(?)気がします。(←自画自賛)う~む、憎っくきハルバッハ(←この程度…。。)しかし単なる密室を「特権的な死の夢想の封じ込め」にまでに昇華させる哲学理論には圧倒されます。あと矢吹駆とカドナス教授の探偵論は非常に興味深い。哲学部分も調子よく読むことが出来たのに、苦痛を感じさせるのがご存知ナディア嬢。なかでも犯人を思いっきり間違えた上「とんでもない疑いをかけたりして、ほんとうに申し訳ありませんでした」にはさすがのあたくしも呆2015/09/23
本木英朗
26
【矢吹駆シリーズ】第4作である。俺は今まで光文社ノベルスで大学時代に2回、社会人時代に1回読んでいた。今回は東京創元社版で改めて4回目を読み終えたばかりだ。やはり超いいよねえ、うん。さすが笠井潔である。特に二つの三重密室それぞれの解決とかが、凄くよかったよ、うん。まあ、とりあえず矢吹シリーズはこれで終わりかなあ。5作目や6作目はちょっといいかなあ、と思っている。というわけで次は『天啓の器』かなあ。2019/12/23
yucchi
25
やっと終わった...(*´﹃`*) 中盤辺りまでなかなか波に乗れず大変だった。哲学部分は相変わらず読んでは(ノД`)~゜。ネムー読んでは(ノД`)~゜。ネムーを繰り返したのでぼんやりとしかわからず。コフカ収容所での出来事にメンタルをやられつつ、ラスト100ページはあっという間。死とは何か?私が今よりもさらに死を意識した時に読んだら、また感じ方が変わってくるのかなぁ。2014/11/01