内容説明
南宋時代の中国、臨安。常々刺客への警戒を怠らなかった商人が、猛毒にあたって死んだ。唯一毒味をせず口にした薬のせいに違いないと、お抱えの薬屋は囚われの身となってしまう。父の非運を目に当たりにした一人娘に、仙人のような男が策を授け…。九歳の少女と不思議な力を持った老人の真相解明行を軽やかに描く第三回ミステリーズ!新人賞受賞作「殺三狼」など、四編を収録。
著者等紹介
秋梨惟喬[アキナシコレタカ]
1962年岐阜県生まれ。広島大学文学部史学科卒業。2006年「殺三狼」で第3回ミステリーズ!新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アイゼナハ@灯れ松明の火
44
武侠小説とミステリーの化学反応が楽しい!中華の様々な時代を舞台に各時代の“銀牌侠”が難事件の謎を解く、中短篇4作を収録。超人的な武侠たちが登場するので、トリックなんか何でもアリになるんじゃないかと思ってましたが、さにあらず。『本当に難しいのはどうやって証明するかなのだ』って事ですな。武侠小説としての雰囲気の出し方もいい感じだと思いました。勿論、『“浪子”燕青が梁山泊に入る三年前の話である』の『悪銭滅身』がお気に入りな訳ですが、他の作品も面白かったです。2011/04/03
Norico
29
中国の時代ミステリ。黄帝から銀牌をさずかった正義の味方が大活躍!的な、読んでスッキリできる物語でした。眼のいい公英ちゃんや銀牌を受けることにした抱壺さんなど、魅力的な登場人物がたくさん。その後も読みたいなぁ。2015/12/14
geshi
21
軽やかに快刀乱麻を断つごとく事件を解き明かす、中国の武侠ものとミステリーとの親和性が高く、元ネタを知っていたらもっと楽しめただろうに。勢(システム)論の考え方も中国っぽくなくて面白い。『殺三狼』全然違った捜査が事件に繋がってくる探偵小説的展開。『北斗南斗』聞き取りの中での師弟の軽いやり取りが楽しい。『雷公撃』キャラクターの掘り下げをするのに中編の方が良かったのでは?『悪銭滅身』単純にして大胆不敵なシステム。ラストの大立ち回りも特徴を生かしていて良かった。2015/06/14
bayashi
15
短編3つに中編ひとつ、昔の中国で本格ミステリ。中華ファンタジーなるジャンルがあるのは知ってたけど、ちょっとした不思議や特殊技能、裏の世界などの色んなグレーを素直に受け入れさせる土壌としてこの「昔の中国」てのは最適なのかもしれない。他の国だとたとえ時代を遡ってもここまでしっくりこない気がする。雰囲気大事。水滸伝繋がりで手に取ったが面白かった。2023/03/16
はるき
11
何だかホームドラマみたいな心安らぐお話である。中国文化に詳しくなくても入って行きやすいしスイスイ読める。楽しかった。2016/02/28